2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of nuclear radii in exotic multi alpha cluster states
Project/Area Number |
17K05454
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
伊藤 誠 関西大学, システム理工学部, 教授 (30396600)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | αクラスター構造 / 核半径 / クラスター模型 / 波動回析 / Λハイパー核 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子核は核子から構成される有限量子多体系であり、その基底状態は全ての核子が密集した空間的にコンパクトな構造をしている。一方、軽い原子核の励起状態にはクラスター状態と呼ばれる特徴的な構造が現れる。クラスター構造とは一塊の原子核が複数のサブユニット(クラスター)に解離してそれらが緩く結合した状態であり、例えば炭素12原子核が3つのアルファ粒子(4He原子核)に解離した3アルファクラスター構造がよく知られている。 クラスター構造は弱結合なため量子トンネル効果が顕著になり、基底状態に比べて核半径が顕著に増大することが理論的に予想されている。12Cの3アルファ状態は顕著な半径増大が起こる典型例であり、基底状態に比べてその核半径は1.5から2倍程度増大すると考えられている。一方、3アルファ状態を生成するのに必要な励起エネルギーは、全結合エネルギーの約数パーセント程度である。数パーセント程度のエネルギー注入によって数十パーセント以上の半径増大が起こる系は、自然界においてはほぼ原子核のクラスター状態のみであり、この異常性は有限量子多体系の特色の一つである。しかしながら、クラスター状態は非常に短寿命であるため、その核半径の実験的な直接測定はほぼ不可能な状況であった。 本研究では、12Cの3アルファ状態に注目し、3アルファ状態を終状態として励起する非弾性散乱、ラムダ粒子生成反応等に注目し、その反応断面積の分析から、3アルファ状態の核半径増大を実証しようとするものである。現在、非弾性散乱の分析がある程度終了し、ラムダ粒子生成反応の論文を仕上げている段階である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在進めている論文作成は13C+π→12C+Λ反応によって12Cの3アルファ状態を励起する反応に関するものである。論文は既に投稿済みであり、レフェリーリポートを受け取っている段階である。論文を掲載決定にするためには、関東学院大の共同研究者との研究打ち合わせが必要である。しかしながら、長引くコロナ禍のため、研究打ち合わせが行えず、研究遂行が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
関東学院大の共同研究者と研究打ち合わせを進めることが重要であるが、計算プログラムに関する実質的な作業が必要なため、対面での打ち合わせが必要である。現在、研究打ち合わせ等の予定を調製中である。
|
Causes of Carryover |
関東学院大の共同研究者との対面での研究打ち合わせのための旅費、約6万円を確保していたが、コロナ禍のため出張が出来ず、次年度使用額が生じた。本年度に対面での打ち合わせを予定している。
|