2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05468
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤田 訓裕 九州大学, 理学研究院, 助教 (60532364)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ブラッグカーブ検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
今後の新元素の探索実験においては、核融合反応で生成した蒸発残留核(超重核)の原子番号を直接測定することが発見に対する信頼性の向上につながり、ひいては命名権の獲得にも重要な役割を果たすと考えられている。本研究では、この原子番号の直接測定の為に従来のイオンチェンバーを改造しブラッグカーブ検出器の開発を行った。 開発した検出器は重イオンの軌跡に沿って発生した電離電子の空間分布をアノード電極から収集する際に、電荷を到着時間の関数で取得することにより、ブラッグカーブを算出することが出来る。原子番号の分解能を向上させる為には、入射粒子のエネルギーストラグリングを抑制することが重要であるが、入射窓を1マイクロメートル以下の薄膜を用いることや、入射窓自体をカソード電極にする事で不感領域を無くすといった工夫により、先行研究の検出器よりも高い分解能を達成することが可能となった。 九大タンデム加速器を用いて、ブラッグカーブ検出器の性能評価を行った。タンデム加速器からの炭素と酸素のビームがアルミニウム標的と弾性散乱をして、放出されたビームイオンの検出を行った。結果、原子番号が違う2つの粒子は同じ運動エネルギーを持っていてもブラッグカーブの違いにより分離できることが確認された。 また、今後エネルギー分解能を向上させる為に必要な、ブラッグカーブ検出器の前方に設置予定の飛行時間測定器の開発も行った。設計と組立は完了し、今後性能評価を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたブラッグカーブ検出器の設計や組立は順調に行われて、基礎データの取得も行うことが出来た。その後、加速器からの重イオンビームを用いた性能評価実験も予定通り行われ、期待した性能を達成していることが確認できた。飛行時間測定器の開発も若干時間がかかったが設計と組立は終了しており、2年目に予定している2つの検出器を組み合わせたビーム実験も行うことが出来ると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
九大のタンデム加速器を用いて重イオンを発生させ、検出器に照射するテストを行う。加速されたヨウ素ビーム等を大型真空槽に設置したアルミニウムなどの標的と弾性散乱させる。散乱された重イオンの速度を飛行時間検出器とブラッグカーブ検出器で測定し、原子番号と質量(M)の分解能を評価する。そこで、原子番号が50近傍の測定において、原子番号の分解能が100以上であることと質量数の分化能が300以上を達成できていることを確認する。 Zや Mの分解能が不足した場合はブラッグカーブ検出器のカソード側からも時間情報を取得し、超重核の入射角度依存性を補正することを試みる。また、アノードを分割することでバックグラウンドとの分離能力を向上させることも試みる。 なお、H.30年度を目処に、テスト実験の結果を踏まえて、理研の研究課題採択委員会へ課題申請を行い、加速器施設でGARIS-IIを用いて検出器の評価が出来るようにマシンタイムを確保する。採択が難しい場合は、理研AVFなどの開発用マシンタイムに応募することも考える。
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Research Products
(2 results)