2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05468
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤田 訓裕 九州大学, 理学研究院, 助教 (60532364)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 放射線検出器 / ブラッグカーブ / 重イオン |
Outline of Annual Research Achievements |
超重元素領域(Z>103)での原子番号同定を目的としたブラッグカーブ検出器の開発は順調に進んでいる。検出器本体、および組み合わせて使用する飛行時間測定器の開発について、大枠部分は完了した。また、ブラッグカーブ検出器で得られた電荷の時間変化を読み出す回路として、新たにSIS社製のFADCモジュールを導入し、高レート下での高分解能測定が可能となった。 性能評価のために、原子番号50近傍でのブラッグカーブ測定を行った。タンデム加速器を用いてヨウ素ビーム(Z=53)を66MeVまで加速し、スズ(Z=50)、テルル(Z=52)、セシウム(Z=55)、金(Z=79)標的に照射し、弾性散乱により反跳した核を検出器で測定した。反跳エネルギーは30MeV(核子あたりでは0.25MeV)程度であり、このような低エネルギー重イオン領域でのブラッグカーブは初めてのデータとなる。得られたブラッグカーブ波形にはブラッグピークは確認できないが、波形全体を比較するとピークの幅や傾き等が原子番号によって異なる事が判明した。より詳細な波形解析を行うことで、原子番号識別が可能となると思われる。 飛行時間測定器においてもヨウ素ビームを用いた性能評価実験を行った。50MeVに加速されたヨウ素ビームを金標的に照射し、反跳された原子核の速度を測定した結果、分解能が320psという十分な性能を持っていることが分かった。 今後は得られたデータとシミュレーションデータとの比較や、波形テンプレートを用いたフィッティング解析等を行い、分解能の評価を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに加速器を用いた実験を九州大学加速器・ビーム応用科学センターにおいて行うことが出来、中重核領域での実験データを取得することが出来た。 また、ブラッグカーブ検出器の上流側に設置する予定の飛行時間測定器も完成し、ビーム実験により、十分な時間分解能で重イオンを測定できることが確認できた。 今後はシミュレーション環境の整備や、波形解析プログラムの構築などを行い、詳細な分離能力の評価を行っていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
予定されていた検出器の開発はおおむね終了したので、今後はデータ解析と結果の取りまとめを行っていく。必要に応じて追加データの取得を九大のタンデム加速器を用いて行う可能性もある。
|
Research Products
(4 results)