2019 Fiscal Year Annual Research Report
Direct Measurement of Atomic Number for Super Heavy Elements
Project/Area Number |
17K05468
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
藤田 訓裕 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 研究員 (60532364)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ブラッグカーブ / 超重元素 / 原子番号 |
Outline of Annual Research Achievements |
重元素の原子番号を直接測定するために、エネルギー損失の飛行距離分布、いわゆるブラッグカーブを用いた検出器を開発した。将来的には119番元素以降の超重元素合成実験に用いられることを目標としている。 検出器本体は既存の電離箱の改造により作成した。重イオンが入射した際に生成される電子についてイオンの入射軸方向の分布を得た。電荷の読み出しには、前置増幅器の後段に高速なアナログ・デジタル変換器を用いて、全波形をデジタル的に取り込むことで、ブラッグカーブの詳細な情報を得ることに成功した。この方式によって従来では不可能であった極めて低い入射エネルギーの重イオン(1.6MeV/u以下)の原子番号が識別できるようになった。 検出器の性能評価実験は九州大学の加速器・ビーム応用科学センターにあるタンデム加速器を用いて行った。初年度は炭素や酸素(原子番号6, 8)のイオンをアルミ標的に照射し、弾性散乱された炭素、酸素イオンをブラッグカーブ検出器で計測したところ、それぞれのイオンが同じエネルギーであっても別のブラッグカーブを描くことが確認され、99%以上の精度で識別できることが確認できた。 次年度にはヨウ素(原子番号53)のビーム、および錫、テルル、セシウム、ヨウ素、金(原子番号50, 52, 53, 55, 79)の標的を用いたブラッグカーブ測定を行った。この測定の結果、ヨウ素と金の分離は90%以上の精度で可能であることが示された。最終年度には、これまでの実験で得られた波形データの解析手法についての高度化を行った。 最終年度に研究代表者の所属変更が生じたため、発表や論文執筆に遅れが出てしまったが、開発・測定に関しては予定通り完了している。開発・基本性能評価の結果については、これまでの学会・研究会で発表済である。最終結果を取りまとめた論文については、現在執筆中で今後1年内の投稿を目標としている。
|
Research Products
(1 results)