2018 Fiscal Year Research-status Report
直線偏光ガンマ線によるシザースモード磁気的双極子遷移の研究
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17K05482
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
静間 俊行 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 東海量子ビーム応用研究センター, 上席研究員(定常) (50282299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 修治 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 特任教授 (90135757)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 核共鳴蛍光散乱 / レーザーコンプトンガンマ線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、四重極変形をした原子核の励起エネルギー2.5~4MeVに現れるシザースモード共鳴準位について、核構造的な起因を明らかにするため、準単色で直線偏光をしたレーザーコンプトンガンマ線を用いてTa-181原子核の核共鳴蛍光散乱実験を行い、励起準位からの放出される共鳴ガンマ線を測定し、多重極度を決定する。また、透過型の核共鳴蛍光散乱実験を行い、遷移の分岐を求め、多重極度の測定結果と合わせて、正確なシザースモード運動による磁気双極子遷移の強度分布を決定する。多重極度の測定では、入射ガンマ線の偏光面に対して平行な方向と垂直な方向に放出される散乱ガンマ線の強度から、共鳴準位のスピンとパリティを決定する。その際に必要となる非対称度を、双極子遷移と四重極子遷移の混合比が無視できる場合について計算した。その結果、共鳴準位のスピン・パリティが、9/2-の場合は-0.14、9/2+の場合は+0.14、11/2-の場合は-0.30、11/2+の場合は+0.30となることが分かり、今後、これらの値を用いて、スピン・パリティの決定を行う。また、本測定では、通常の核共鳴蛍光散乱実験と透過型の核共鳴蛍光散乱実験から得られる散乱ガンマ線の強度から吸収の大きさを求め、共鳴状態から基底状態への遷移の分岐比を決定する。吸収の大きさは、積分散乱断面積と基底状態へのガンマ線崩壊幅に依存し、数値計算によって求めることができる。そこで、熱運動によって生じるドップラー効果による共鳴幅の拡がりを考量した共鳴散乱断面積を用いて、吸収の大きさの解析を行った。その結果、Ta-181原子核の2298keV準位は、崩壊幅が49meVを有しており、透過型の核共鳴蛍光散乱実験において、厚さ2cmの吸収ターゲットを使用する場合、吸収の大きさは0.64となる。この値は、これまでに実験的に求めた値とよく一致することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レーザー装置の故障のため予定の実験を遂行することができなったが、核共鳴蛍光散乱実験から得られるデータの解析に必要な共鳴散乱ガンマ線の非対称度、及び吸収の大きさの評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
ニュースバル放射光施設において、Ta-181原子核の核共鳴蛍光散乱実験を行い、入射ガンマ線の偏光面と共鳴散乱ガンマ線の放出角との相関関係から、遷移の多重極度を求める。また、透過型の核共鳴蛍光散乱実験から、ガンマ線の分岐比を求め、多重極度の測定結果と合わせて、磁気双極子遷移の強度分布を明らかにする。
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Causes of Carryover |
使用する予定のCO2レーザー装置の故障のため、ガンマ線ビームを利用することができず、施設使用料や機器輸送費が発生しなかったので、次年度使用額が生じた。今年度、施設使用や機器輸送のために使用する。
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Research Products
(13 results)
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[Presentation] Development of a gamma-ray tracking detector and its performance test2018
Author(s)
Asahi Kohda, Nori Aoi, Yasutaka Yamamoto, Eiji Ideguchi, Mukhi Kumar Raju, Hoang Thi Ha, Tung Thanh Pham, Tatsushi Shima, Viljamaa Topi Benjamin, Shuji Miyamoto, Toshiyuki Shizuma, Nobuaki Imai, Kathrin Wimmer, Pieter Doornenbal, Rudrajyoti Palit
Organizer
日本物理学会