2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05490
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江澤 雅彦 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (10504805)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非エルミート・トポロジカル系 / 高次トポロジカル絶縁体 / コーナー状態 / ヒンジ状態 / トポロジカル電気回路 / トポロジカル相転移 / 反強磁性スキルミオン / 遷移金属ダイカルコゲナイド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主題は、「トポロジーと結晶群に基づく新奇量子相の理論的研究」である。本年度の顕著な業績は、様々な新奇なトポロジカル現象を電気回路を用いて実現できることを示したことである。先ず、LC電気回路を用いて高次トポロジカル絶縁体を実現できることを示した。コーナー状態はインピーダンス共鳴を用いて実験的に検出できる。この結果、従来は固体物質中で研究されていた様々なトポロジカル相が、電気回路を用いて簡便に研究できることを示している。特に、可変コンデンサーを用いることで系のパラメータを詳細に制御する事が可能であり、トポロジカル相転移の研究に最適であることを指摘した。更に、breathingカゴメ格子状にコンデンサーを配置し、各ノードをコイルで接地することで、二次トポロジカル絶縁体を実現できることを示した。また、高次トポロジカル絶縁体に関連する研究として、二次トポロジカル絶縁体とトポロジカル結晶絶縁体が、磁場の向きを変えるだけで切り替えられることを示した。遷移金属ダイカルコゲナイドで二次トポロジカル絶縁体とループ・ノード半金属が実現することを示した。チャーン数やホップ数で記述されるトポロジカルな量子クエンチ・ダイナミクスも提案した。これらの多彩な研究成果は9本の単著論文にまとめ、国際的に著名な学術誌に掲載した。 また、磁気スキルミオンに関する解析も行った。特に、反強磁性スキルミオンの電場勾配による駆動やスピン・トルクによるナノ振動子の研究を行った。また、反強磁性結合した磁気二重層におけるスキルミオンを電場勾配で駆動する方法や、フラストレート磁性体の二重層におけるスキルミオンのダイナミクスを、数値シミュレーションにより明らかにした。更に、実験による検証も行った。これらの成果は国際共同研究により得られたものである。研究結果は5本の論文にまとめ、国際的に著名な学術誌に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初想定していなかったことであるが、電気回路で様々なトポロジカル相が実現できるという新しい発見により、研究は当初の計画以上に大幅に進展している。スキルミオンに関しては、反強磁性スキルミオンに関して着実に理論的及び実験的に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果をうけ、引き続き電気回路をもちいて非エルミート・トポロジカル系や高次トポロジカル系を実現する方法を探索する。更に、量子情報処理を電気回路を用いて実現するという野心的なプロジェクトに挑戦する。具体的には、電気回路を用いてマヨラナ粒子を実現する方法を提案し、ブレイディングが可能であることを示す。これを示せれば、トポロジカル量子計算を電気回路で遂行するという課題の一里塚になる。
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Causes of Carryover |
昨年度と本年度を合算して計算機を整備するため。
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