2019 Fiscal Year Annual Research Report
Theory of the electronic properties in three-dimensional surface network materials
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17K05496
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
越野 幹人 大阪大学, 理学研究科, 教授 (60361797)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | グラフェン / 2次元物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度となる令和元年度は引き続きグラフェン幾何学構造に関する研究を行った。グラフェン2層が回転して重なった「ねじれ2層グラフェン(twisted bilayer graphene)」は、2018年超伝導の発見以来大きな注目を集めているが、フォノンに対する影響はこれまでほとんど議論されてこなかった。越野は韓国高等科学院(KIAS)のYoung-Woo Sonとの共同研究により、ねじれ2層グラフェンのフォノン状態を有効モデルによって初めて理論的に計算し、モアレ模様を「原子」とする、有効的な結晶の格子振動として理解されることを明らかにした。 また、グラフェン2枚が互いに30度で重なった30度ねじれ2層グラフェンは、12回回転対称性を持つ準結晶としての性質を持つことが知られる。理論的には、系に周期がないために通常のバンド理論で記述することができない困難な系であるが、P. Moon(ニューヨーク大学上海)、Y. W. Son(韓国高等科学院)との共同研究により、このような準周期積層系を記述するための理論手法を考案し、30度積層グラフェンの電子状態を解析した。この「擬バンド理論」理論を用いることで、電気伝導、光吸収を始めとする様々な物性が記述できると期待される。 また近年注目が集まっているもう一つの系にねじれダブル2 層グラフェン(twisted double bilayer graphene)がある。この系、AB 積層した 2 層グラフェン 2 組をモアレ積層した、計4層の系のことであり、2019の初頭に実験で実現され、超伝導が実現している。越野は、ねじれダブル2 層グラフェンのバンド構造とそのトポロジカルな特性について理論的に詳細に解析した。
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Research Products
(20 results)