2019 Fiscal Year Research-status Report
Innovative research on electronic properties in alloy semiconductors
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17K05498
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
篠塚 雄三 和歌山大学, 学内共同利用施設等, 名誉教授 (30144918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋元 郁子 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (00314055)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 化合物半導体 / 混晶 / バンド構造制御 / キャリア / 有効質量 / サイクロトロン共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
理論面では、課題1において本研究の基礎となっているIQB理論の整合性の確保について取り組んだ。不合理な状態ギャップの出現の原因と考えられる、基底関数系の冗長さ及び非直交性の回避について多角的に検討した。しかし残念ながら満足できる結果はまだ得られていない。一方、課題2の新規混晶系については、(ZnO)1-x(InN)xを対象に結晶成長の初期過程となる吸着過程のモデル計算を行った。その計算結果は九大の板垣らによって得られている実験結果をある程度うまく説明することができた。 実験面では、混晶結晶系でのサイクロトロン共鳴スペクトルから精度の良い伝導パラメータを抽出する計画(課題4)の下、混晶結晶系および高純度GaAs結晶で多周波マイクロ波を用いてサイクロトロン共鳴測定を試みているが結果が出ていない。X-band(9.6 GHz)に比べQ-band(34 GHz)のマイクロ波により高温側までキャリア散乱時間を導出できることは高純度シリコン結晶で定量的に示すことができ、国内学会で報告した。また、これまで磁場共鳴スペクトルを取得するには至らなかった高純度GaN結晶については、自由キャリアの運動を阻害する深いトラップの存在を光吸収・発光の温度依存性により確認し、共鳴スペクトルが確認できない理由を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論面では、IQB理論において擬似局在状態と仮想結晶状態の間の繰り込みについて、理論開発がなかなか進まないことによる。IQB理論と同等の理論であるATA理論からCPA理論が編み出された理論の進化の過程をアナロジーとして取り組めないか模索している。また困難打破のためにアイルランドのTyndall研究所の研究者との討論を計画したが、その訪問がコロナ禍で中止になったことも大きい。一方、新規混晶系である(ZnO)1-x(InN)xを対象に結晶成長の初期過程をモデル計算したが、その結果は九大の板垣らによる実験結果をある程度うまく説明することができたことは成果とみなせる。 実験面では、混晶結晶系を調べる上で、最も簡単なケースであるGaAs、GaP、GaN結晶において、未だCRスペクトルを得られておらず実験手法が確立できていないため、実験部分は遅れている。寒剤に利用する液体ヘリウムの国内流通量が減り、和歌山大学で購入することが困難であることも影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
理論面では、非エルミート系の固有値問題やover complete系について、類似の物理系における他分野面での進展状況を調査し、そこから解決策を見出そうと考えている。また延期になっているアイルランドのTyndall研究所訪問を実現させ、そこの2名の教授たちとの研究討論を計画している。 実験面では、マグネトプラズマレジスタンスのスペクトル解析により、キャリアの質量と温度を抽出する解析方法を開発する。
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Causes of Carryover |
一つには、予定していたアイルランドの研究所訪問がコロナ禍で延期になったためである。また学外でのQ-band(34 GHz)測定を実施したこと、寒剤に利用する液体ヘリウムの国内流通量が減り、購入することが困難になり寒剤代を消化しなかったことが理由である。 今後は、延期となっているアイルランドの研究所訪問を実施し、液体ヘリウムの購入に努めて実験を計画的に遂行する。
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