2017 Fiscal Year Research-status Report
Three-dimensional topological photonics by ring resonators
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17K05507
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
落合 哲行 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (80399386)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ギャップレス表面状態 / 対称性の破れ / 偶然縮退 / 有効ハミルトニアン / ドメイン壁 |
Outline of Annual Research Achievements |
リング共振器などの共振器構造をベースにした3次元フォトニック結晶において、光のトポロジカル相を理論的に探索することが本研究のひとつの大きな目的である。今年度は同軸構造をもった高誘電率円柱を基本要素としてもつ3次元フォトニック結晶において、偶然縮退と対称性の破れによる光のトポロジカル相をつくる recipe を提案した。またその recipe を検証する上で必要となる計算法を開発した。 この recipe によると、同じフォトニック結晶で極性を反転させただけのドメイン境界において、ギャップレスの表面状態が現れることを予言する。そこで現れる表面状態は面方位に大きく依存し、ある面では2次の縮退をもつ分散関係が得られるが、別の面方位では Dirac cone 型の分散関係が得られる。また表面状態はある種のスピン運動量ロッキングを有していることが示された。 単一のドメインの場合においては、有効ハミルトニアンの議論からギャップレスの表面状態が生じ得るが、境界条件によってはギャップアウトしてしまう。この意味で提案されたトポロジカル相は厳密な意味でトポロジカルに非自明なのではなく、 2次元系のバレーホール効果のように、限定的な意味でトポロジカルだと考えている。 しかしながらこの recipe は高い対称性による偶然縮退と、対称性の破れという極めて汎用的なアイディアに基づいており、同じ対称性をもっていれば、どのような構造においても成り立つ。そのため、実際にギャップレスの表面状態をデザインする上で、とりうる構造や最適化の自由度は極めて高いと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表面状態の計算において、ある面方位では既存の方法がそのまま使えたが、別の面方位では新たな計算法の開発が必要となった。そのコード化にかなりの時間を要した。しかしながら数値計算の結果は予言どおり、期待どおりであった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、3次元における光のトポロジカル相を探索する。より広い範囲を探索するために新たな計算手法も開発する。また以前に提案した光の異常フロケ相、ワイル相をもった構造をマイクロ波帯で実現するための検討もおこなう。
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Causes of Carryover |
近隣国で大きな国際会議が開かれたため、旅費が想定より少なく済んだ。研究発表および討論のための出張旅費と、計算機環境を整えるために使用する予定である。
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Research Products
(3 results)