2019 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical study on spin-liquid states in frustrated magnets and related problems
Project/Area Number |
17K05519
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
福元 好志 東京理科大学, 理工学部物理学科, 准教授 (00318213)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | クラスター磁性体 / ハイゼンベルグ反強磁性体 / ジャロシンスキー・守谷相互作用 / ランダムネス / 球体カゴメ系 / 量子ダイマー模型 / フラクタルコード / 正方格子拡張ハバード模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず,球体カゴメ系の比熱の研究から述べる。{W72V30}の磁場中比熱測定の結果,スピンギャップ以下に多数のシングレット励起の存在することが確認された。しかし,ハイゼンベルグ模型での理論曲線と比較し,比熱測定で得られた実験曲線では低温ピークが見られないことなど,他の摂動を考慮する余地があった。そこで,低温磁化過程の研究で提案されていた (i)交換相互作用の強さが分布を持つこと,及び,(ii) ジャロシンスキー-守谷(DM) 相互作用,を取り入れた比熱計算を行った。その結果,交換相互作用の分布幅が平均交換相互作用の5-10%程度あれば,低エネルギーシングレット状態の分布が影響を受け,低温ピークが消失することがわかった。磁化過程の研究の際,Schnackらのグループは,交換相互作用の分布幅を30%程度と結論している。一方,比熱の低温ピークの有無は低エネルギーシングレット状態の分布で決まり,そのエネルギースケールは(磁化過程に影響する)低エネルギートリプレット状態の数分の一となる。そのため,我々の交換相互作用の分布幅に対する結論は,Schnackらの数分の一となっている。 次に,他のスピン系研究について述べる。ダイヤモンド装飾正方格子ハイゼンベルグ反強磁性体の研究については,ロクサー・キベルソン点の量子ダイマー模型の実現に焦点をあて,論文にまとめた。将来的に,光格子系の手法を用いて量子ダイマー模型が実現され,スピン液体に至ることが期待される。また,スピン液体の量子情報分野への応用が議論されているが,類似の方向性の研究として,フラクタルコードの研究にも着手し,その結果を物理学会で報告した。 最後にサイト間斥力を含む正方格子拡張ハバード模型について,d波電荷密度波とd波超伝導の共存状態を記述する平均場理論を構築し,物理学会にて報告し論文にまとめた。
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Research Products
(8 results)