2019 Fiscal Year Research-status Report
正方対称場における2電子t2g電子系のスピンと軌道秩序
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17K05521
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
櫻井 裕也 国立研究開発法人物質・材料研究機構, エネルギー・環境材料研究拠点, グループリーダー (60421400)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 磁性 / 正方格子 / 高圧物性 / 高圧合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
Sr3V2O7の純良試料を高圧合成により作成しその磁性を明らかにした。バナジウム酸塩を使用し、高圧合成を利用することで酸素不定比性が極めて少ない試料の合成に成功した。これまで報告されていた磁化率の温度変化は比較的大きなCurie-Weiss則にしたがい、110 K付近で異常がみられた。その原因についてはスピングラス、傾角反強磁性、隠れた1次元性による密度波形成など不自然な磁性であると考えられていた。今回合成に成功した純良試料ではCurie-Weiss的な振る舞いが大きく押さえられ、110 Kの異常も見られなかった。すなわち通常のパウリ常磁性であることが分かった。不自然な振る舞いは不純物や欠陥によるものだと考えられる。これらのことを論文にまとめ報告した。 純良な試料を用いてSr2MO4 (M = V, Cr)の電気抵抗、磁化、X線回折測定を様々な圧力温度領域で行い電子相図を完成させた。過去に報告されたものとは異なり、M = Vでは2つの金属相が現れた。M = Crにおいても複雑な電子相図が得られた。イオンのd軌道の電子数と縮退の様子からその複雑な相関係を検討した結果、トポロジカルな性質が示唆された。これらを論文にまとめ報告した。 Ln2Co12P7 (Ln = Y, Nd, Sm)においてNdやSmの磁気モーメントが強磁性秩序したCoの磁気モーメントと反強的に結合することを磁気熱量効果の測定により明らかにした。軽希土類が3d遷移金属イオンの強磁性と反強的に結合することは珍しい。その内容は論文にまとめ報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本における液体ヘリウムの供給不足により測定装置が一時停止したため。
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Strategy for Future Research Activity |
残務は極僅かである。必要な測定を終え、成果を発表する。
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Causes of Carryover |
日本における液体ヘリウムの供給不足により測定装置が一時停止し研究が一時停滞したため。翌年度分として請求した分は、主に実験消耗品の購入と成果発表に当てる。
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