2017 Fiscal Year Annual Research Report
時間発展行列積状態を基にしたスピン流の微視模型解析
Project/Area Number |
17K05523
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
白川 知功 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 研究員 (40571237)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 行列積状態法 / 時間依存シミュレーション / スピン流 |
Outline of Annual Research Achievements |
スピンカレントは次世代デバイス技術として期待されているスピントロニクスの根幹を成す概念である。 そこで、本研究課題では、申請者らが独自に考案したブロックランチョス変換による1次元化と時間発展行列積状態計算手法を組み合わせた計算方法を用いて、量子スピン-フェルミオン接合系の数値的厳密な結果を提供し、スピンカレントの基礎理論を進展させる事を目的とした。 本年度は、タイトバインディング模型に接続した1次元量子スピン系のダイナミクスの一般的な振る舞いを調べた。系のセットアップとしては、1次元量子スピン系が二つのタイトバインディング模型に挟まれた系を想定し、それぞれのタイトバインディング模型に時刻0で地場を印加し、十分時間が経ったときにスピン系に流れるスピンカレントの大きさを調べた。印加する磁場が弱い時には流れるスピンカレントが強く抑制されており、スピン系がギャップレスの系に近いほど抑制が強いことがわかった。このことから、この抑制はスピン系のギャップにはあまり依存せず、むしろ接合部分の性質に依存しているように見られる。そこで、我々はタイトバインディング模型のバンド幅Wと量子スピン系の交換相互作用Jの大きさ依存性を調べたところ、ある特定の比のところでスピン流は極大値を取ることがわかった。さらに、この極大値をとるパラメータにおける磁場依存性を系統的に調べた結果、このパラメータにおいてはスピンカレントが印加する磁場に比例する、すなわち、スピンカレントに対するオームの法則を満たすことがわかった。 これらの結果は論文として公表予定である。
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Research Products
(3 results)