2019 Fiscal Year Research-status Report
Interplay between unusual superconducting critical field and magnetic correlation in Pauli-limited superconductors
Project/Area Number |
17K05529
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
横山 淳 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (70361285)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 超伝導 / 量子臨界現象 / 磁気秩序 |
Outline of Annual Research Achievements |
重い電子系超伝導体CeCo(In1-xZnx)5では、亜鉛Znの混入によって超伝導転移点は抑制され、新たに反強磁性秩序が誘起される。その際、強いパウリ常磁性効果に起因して、超伝導転移点の減少に反し超伝導上部臨界磁場は抑制されないという他にはない特異性を示す。また、ニッケルNiを混入したCeCo1-xNixIn5では、Niイオン混入によって超伝導は同様に抑制されるが、この系では磁気秩序は発現せず、超伝導が消失するNi濃度(Ni25%)において非フェルミ液体異常が発現する。本課題では、それらの起源に解明するために、巨視および微視測定を駆使して磁場下での超伝導相や反強磁性相、非フェルミ液体異常の性質を調べている。 本年度は、前々年度のZnイオン置換系や前年度のNi置換系の研究進展を踏まえ、両イオン置換系に対する詳細な物性測定を行った。まず、Znイオン置換系においては、広いZnイオン置換領域に対する極低温磁化及び比熱の測定を駆使して、磁場誘起反強磁性秩序に対する量子臨界揺らぎと、CeCoIn5の超伝導臨界磁場近傍で発現する非フェルミ液体異常との相関を示唆する結果を得ることができた。また、それを検証するためにスイス・PSIにおいて微視プローブであるミュオンスピン緩和測定を行い、電子状態における微視的な情報を得ることができた。一方、Ni置換系においては、Ni0-30%の広いNiイオン濃度領域において、非フェルミ液体異常の磁場応答を電気伝導測定によって明らかにし、非フェルミ液体異常の変化を系統的に追うことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、CeCoIn5の様々な異常物性の起源や関係性を包括的に理解するために、前々年度や前年度に引き続き、ZnおよびNiイオン置換系における量子臨界揺らぎの研究を具体的に展開することができ、量子スピン揺らぎと超伝導物性に相関に対する重要な知見を得ることができた。また、共同研究者とともに国内外で上記の系の微視測定を強力に進めることができた。この結果をもとに、異常超伝導物性と量子臨界揺らぎの関係に対する包括的な理解へ向け、新たな研究課題を構築することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
前々年度には、Znを7%混入した系での磁場誘起反強磁性秩序やその量子臨界揺らぎの発見を通じて、量子臨界揺らぎと反強磁性秩序の直接的な結びつきを初めてとらえることができた。また、前年度にはこれと異なるNi置換系において、量子臨界揺らぎと超伝導秩序の密接なつながりが明らかになった。今年度は両イオン置換系に対する系統的な研究展開をスタートすることにより、CeCoIn5の異常超伝導物性と磁気秩序、非フェルミ液体異常の包括的理解に向け、プラットフォームを構築することができた。母物質であるCeCoIn5では、量子臨界揺らぎにかかわる様々な異常な超伝導物性が発見されており、その多くの起源は未解明である。よって次年度以降は引き続き、これらのイオン置換系の巨視測定・微視測定を遂行し、CeCoIn5の異常な超伝導物性の起源解明を目指す。
|
Causes of Carryover |
ほぼ計画通りの支出を行った。年度末に開催予定であった国内会議に参加するための旅費を計上していたが、コロナウイルス流行に伴い会議が中止となったため、次年度に研究成果を公表するための国際会議参加経費として使用する。
|
-
-
-
-
[Presentation] 重い電子系超伝導体CeCoIn5におけるZnおよびNi置換効果のNMR2020
Author(s)
酒井宏典, 徳永陽, 芳賀芳範, 神戸振作, J.-X. Zhu, F. Ronning, S. K. Ramakrishna, A. P. Reyes, 小手川恒, 藤秀樹, 鈴木康平, 大島佳樹, 横山淳
Organizer
日本物理学会第75回年次大会
-
-
-
-
-
-
-
-
-