2019 Fiscal Year Annual Research Report
Theory of FFLO state in the excitonic phase and novel superconductivity
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17K05539
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大野 義章 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40221832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 和博 三重大学, 工学研究科, 教授 (40201537)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 励起子相 / FFLO状態 / 励起子揺らぎ / 超伝導 / 多バンドハバード模型 / 第一原理計算 / 最局在ワニエ関数 / 動的平均場理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までは、Ta2NiSe5の結晶構造の強い1次元性を抽出した3鎖Hubbard 模型に基づき実現しうる励起子秩序を議論してきた。その結果、圧力を印加した半金属状態のTa2NiSe5 では、低温でFF型あるいはLO型の励起子相が実現することが分かった。一方、実験との比較を念頭に置いて現実の物性について言及するためには、結晶構造を反映させた、より現実的な模型から出発する必要がある。そこで、高圧下の半金属Ta2NiSe5の結晶パラメータを用いて第一原理バンド計算を行い、最局在Wannier関数を用いて、Taの5d軌道、Niの3d 軌道、Seの4p軌道からなる60軌道d-d-p模型を構築し、高圧下のTa2NiSe5の励起子秩序を調べ、実験との比較検討を行った。 最近のフェムト秒レーザー時間・角度分解光電子分光(TrARPES)実験で、常圧の構造相転移温度以下における光照射前のTrARPESスペクトルは励起子相に特徴的なフラットバンドを示しているのに対して、照射後のスペクトルはホールと電子バンドの縮重度が1:1 の半金属的になることが報告され、構造相転移温度より高温における熱平衡状態での半導体状態とは異なることが示された。このことは、励起子秩序に対する従来の平均場近似では無視されている電子相関効果が重要であることを示唆している。そこで、電子相関効果が十分に考慮できる動的平均場理論(DMFT) に基づき、励起子相およびその近傍の正常状態を調べた。その結果、バンド間相互作用が大きな領域における励起子相の周辺において、準粒子繰り込み因子Zが非常に小さく、絶縁体に近い強相関電子状態が実現することが分かった。
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Research Products
(30 results)