2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05548
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
坪田 誠 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (10197759)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 量子乱流 / 超流動ヘリウム / 2流体モデル / 可視化実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
1941年にランダウが提案した2流体モデルは超流動現象を記述する強力な現象論的モデルであり、超流動、超伝導なと様々な低温物理の現象を理解するのに強力な役割を果たして来た。このモデルは、超流動に関する様々な現象を記述するのに有効だが、両者の運動方程式を連立させて解かれたことはほとんどない。超流動の乱流-量子乱流-の研究は、秀れた可視化実験と数値計算により、2流体モデルの完全結合ダイナミクスを扱う段階に達してきた。本研究は、超流体のダイナミクスを量子渦糸モデルで、常流体をナヴィエ・ストークス方程式で記述し、両者は相互摩擦で結合、連立させて解き、史上初めて、超流体と常流体の結合ダイナミクスを明らかにすることを目指す。今年度は、熱対向流を想定し、2流体の結合ダイナミクスの計算を行い、量子渦が発達し量子乱流を形成するに伴い、大きな相互摩擦により、常流動流れ場が大変形を起こすことを示した。その大変形を記述する新たな無次元変数を導入しそれが有効に働くことを確認した。また、イギリス、アメリカの実験グループと共同研究を行い、熱対向流中の量子乱流の減衰に数値計算を行った。この系は、チャネル内の非一様系だが、一様系で知られている量子渦糸密度の時間発展を記述するヴァイネン方程式との比較を行った。また、新たな問題として、点熱源が作る非一様熱対向流における量子乱流の研究を開始した。これはやはりヴァイネン方程式の検証に貢献する。大阪市大の長低温実験グループの実験に関連して、渦タングルから放出される量子渦のサイズ分布の数値計算も始めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
10 研究発表に示すように、複数の論文を発表することができたから。
|
Strategy for Future Research Activity |
この2流体結合の実現により、これまで研究できなかった以下のような発展・展開が見込まれる。現在行っている研究は以下である。1. 熱対向流の助走区間の評価。2..常流動流れ場の層流から乱流への遷移の評価。3. 点熱源が生む量子乱流 など
|
Causes of Carryover |
数値計算用計算機の更新を計画していたが、今年度は現有の計算機で十分対応できるため、その更新を次年度に見送った。そのため、今年度は予定したほど予算を使用しなかった。
|
Research Products
(9 results)