2018 Fiscal Year Research-status Report
Phase diagram, electronic structure, and superconductivity of iron-based superconductors
Project/Area Number |
17K05556
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
寺嶋 太一 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主席研究員 (40343834)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 鉄系超伝導体 / ピーク効果 / フェルミ面 / 磁気トルク / 量子振動 / QSGW法 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)鉄系超伝導体Ba1-xKxFe2As2(X ~ 0.69, 0.76)の異常なピーク効果を明らかにした。磁気トルク測定に基づき、超伝導状態の温度ー磁場相図を決定した。上部臨界磁場直下にピーク効果が見られた。磁場方位をc軸から面内に傾けるに従い、ピーク効果は顕著になる。更に、磁場増大時と減少時でトルクがピークを示す磁場が大きく異なり、かつまた磁場増大時にはピークの高磁場側、減少時には低磁場側に一次転移を示唆するトルクの急激な変化が観測された。また、複雑な磁場履歴依存性も見られた。これらは、これまでに報告されているピーク効果の振る舞いと大きく異なる。面内に近い磁場方位の場合、上部臨界磁場はパウリリミットに匹敵するので、この異常な振る舞いにスピン常磁性効果が関係している可能性もあると指摘した。 (2)鉄系超伝導体FeSのフェルミ面を精確に決定した。量子振動計測と準粒子自己無撞着GW(QSGW)近似による電子状態計算を行った。計算によれば、フェルミ面はそれぞれ2枚のホール面と電子面からなる。それから期待される量子振動の周波数8ヶをすべて実験的に観測できた。観測されたフェルミ面のサイズと計算結果は、kに依存しないたかだか0.1eV以下のバンドエネルギーの調整を行うことで、ブリルアンゾーン断面積の0.2%の精度で一致した。キャリア数は鉄原子1ヶあたり~0.5ホール/電子、また多体効果による質量増強は約2倍と求まった。dxy成分の第3のホール面が存在しないことは、ノードのある超伝導ギャップに有利である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、「鉄系超伝導体の相図と電子状態、超伝導状態」を研究することであるが、上述の様に、相図、電子状態、超伝導状態いずれについても着々と研究は進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、強磁場低温測定を主たる手段とし鉄系超伝導体の相図と電子状態、超伝導状態を進めて行く。
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Causes of Carryover |
実験が順調に進んで、当初想定したよりも液体ヘリウム消費量が少なくて済んだこと、および国際会議発表をスケジュールの都合で取りやめたことにより、2018年度からの繰り越しが生じた。2019年度については、最近ヘリウム供給が悪化し、ヘリウム価格が高騰しているため、ヘリウム代が増えることが想定される。また、これまでに得られた研究成果についての国際会議発表を予定しており、これらに繰越金を含めて適切に使用する。
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Research Products
(7 results)