2018 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical study of seeking for novel topological phenomena and methods of their detection
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17K05580
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
中村 正明 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 准教授 (50339107)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | トポロジカル物質 / 朝永ラッティンジャー液体 / 偏極 / カゴメ格子 / 厳密基底状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、強相関量子系に関する有益な知見を得るために重要な厳密基底状態を持つ一般化ハバード模型の研究を行った。特にカゴメ格子において、射影演算子法を用いてプラケット上の電子が反強磁性秩序をもつプラケットネール状態が厳密基底状態となるパラメータ領域を求め、それを密度行列繰り込み群を用いた数値計算を用いて検証した。さらに、電子充填率を変化させた場合や、強磁性秩序にも同様の解析を行った。さらにエンタングルメントエントロピーについても厳密な計算を行い、エリア則に従うことを示した。この結果は大規模数値計算のベンチマークとしても使えるほか、現在、さらに研究を発展させてエッジ状態、コーナー状態に関する内容に応用範囲を広げている。
そのほかには、1次元強相関量子系のトポロジカルな情報を特定するための、ひねり演算子(偏極演算子)に関する研究を行った。ひねり演算子はその基底状態での期待値を計算すると、連続的に変化してその値の符号が変化することから、系の偏極、つまりトポロジーに関する情報が得られることが知られていた。これに対して、基底状態ではなく、励起状態での期待値の計算より、トポロジカル転移点直上で±1/2という普遍的な値の間で不連続的な変化を示すことが明らかとなった。これはつまり、トポロジカル情報が増幅されることを意味している。この現象を自由フェルミオン描像や、共形場理論、朝永ラッティンジャー液体理論により説明を行った。さらに、ひねり演算子の基底状態での期待値のトポロジカル転移点近傍でのサイズ依存性を共形場理論に基づく摂動計算から説明することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
厳密基底状態に関する研究は編集者の都合で論文の出版まで時間がかかってしまったが、後続の研究にも着手でき、良い成果を上げていると言える。また、ひねり演算子を用いたトポロジカル相転移に関する研究は共同研究者との相乗効果で予期しない進展があって、論文も2編出版することができ、大きな成果が上がっている。こちらについても後続の研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
射影演算子法による厳密基底状態の研究を発展させ、今までやった1次元鎖やカゴメ格子以外の系、系に端がある場合、SU(N)の自由度がある場合などについて拡張する。また、ひねり演算子を用いた偏極の問題を1次元以外に2次元に拡張し、また変分モンテカルロ法などの数値計算手法への応用を行う。
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Causes of Carryover |
大学の運営費に若干の余裕があり、そちらから必要金額の支出できたため。旅費あるいは謝金に使用することを予定している。
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Research Products
(12 results)