2018 Fiscal Year Research-status Report
A new approach to construct planar equal-mass three-body choreographic solutions
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17K05588
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
尾崎 浩司 東海大学, 理学部, 教授 (00407991)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 3体問題 / 等質量3体8の字舞踏解 / 分岐 / モース指数 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画にある等質量3体平面舞踏解析解探しは,思っていた以上に難航し,学会発表や論文発表には至らなかった.そうした中,北里大学の福田宏・藤原俊朗が推進する等質平面3体問題における周期解の分岐研究プロジェクトに参加し,モース指数(作用積分の第2変分を演算子とする固有値方程式における負の固有値の個数)と斉次ポテンシャル下の等質量平面3体問題における8の字舞踏解から分岐した周期解との関わりについて研究した.得られた成果は以下の通りである.周期解の分岐点でモース指数は変化し,分岐を起こすすべての周期解は,モース指数の変化に応じた変分関数で近似できることがわかった.また逆に,モース指数が変化を起こすすべての点は解の分岐点であることも,斉次ポテンシャル下ならびにレナード=ジョーンズ・ポテンシャル下の8の字舞踏解ではいえることを,数値計算で明らかにした. これら一連の成果を第12回アメリカ数理学会2018(Taiwan),国際シンポジウムHAMSYS2018(Barcelona)で発表した.また"Morse index and bifurcation for figure-eight choreographies of the equal mass three-body problem"と題する論文が,Jounal of Physics A, Mathematical and Theoretical,Vol.52 185201(2019)に掲載された. この仕事に並行して,等質量3体平面8の字舞踏解が起こす様々な分岐のうち,5周期分岐に着目し,分岐する解のうち舞踏解について対称性を調べた.この研究成果を第12回アメリカ数理学会2018(Taiwan),応用物理学会2018年度総会にて発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成29年度末に立てた研究の推進方策に従い,平成29年度に選んだ座標比関数(1)c(t)=cn(t)+a*arctan[{cn(t)+cn(t+4K/3)+cn(t-4K/3}/b] に加えて,今回は(2)c(t)=sn(t+K)+a'*arctan[{sn(t+K)+sn(t+K+4K/3)+sn(t+K-4K/3)}/b']を試験関数に追加し,2次元重力下の8の字解析舞踏解を構成できるか否かを調べてきた(a,a',b,b'は第1種完全楕円積分Kで決まる定数).(1)も(2)も,ヤコビの楕円関数の母数kが自由パラメーターになっているので,特定のkが2次元重力の運動方程式を満たすc(t)を与える可能性があり,時間をかけて調べた.残念ながら,結果はすべて否定的であった. 今回得られた知見が一つある.それは座標比関数sn(t+K)を定数倍すると,重心を原点に保ち,全角運動量をゼロに保ったまま,その座標比関数から作られる等質量3体の軌道が変形される,ということである.残念ながら,解析解へ至ることはできていない.ただし,重心原点,全角運動量ゼロという厳しい条件下で,軌道を変形しながら解析解を探るというこの手法は,今後役立つかもしれない. ヤコビの楕円関数(一般の母数0<k<1)で表した座標比関数(1),(2)から得られる等質量3体舞踏解候補の周期4Kは母数kに依存するが,4Kを2次元重力下の数値解から得られる周期に等しいとおくと,純虚数の母数kが出てきて,0<k<1にならない.これは,元の等質量3体の運動方程式に対して時間と空間に関する適切なスケール変換が必要なことを示唆しているはずだが,その適切なスケール変換は見つかっていない.ここでの停留時間が長びいており,前進できずにいる.
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Strategy for Future Research Activity |
この2年間は,主に等質量3体平面8の字舞踏解の解析的表式を探し求めてきた.等質量3体平面8の字舞踏解は,2016年に東海大の松田氏によって,(8の字運動の周期をTとするとき),T/3を周期にもつ関数c(t)と,T/6を周期にもつ関数λ(t)とで表されることがわかっている.λ(t)はc(t)の積分で書けるので,等質量3体平面8の字舞踏解の解析的表式探しは,適切なc(t)探しに帰着する. 2018年度の研究を通して,c(t)をμc(t)に変更し,パラメーターμを連続的に動かすと,軌道を変形できることがわかった.この性質を利用して,ほかのべき型重力の等質量3体平面舞踏解の解析的表式が「現在までの進捗状況」に掲げた(1)あるいは(2)から得られるかどうかを探りたい. 一方で,距離の3乗に反比例する強力重力下の等質量3体平面8の字舞踏解探索では,(1)でk^2=0.9592722964582358...に採ったc(t)は高精度数値解から得られたc_num(t)に2/1000にまで迫ることを確認した.c(t)とc_num(t)とから描かれる2つの8の字軌道は,PC画面上では区別ができないぐらい重なって見える.k^2をこの値に保ち,μを変化させてc(t)=c_num(t)が得られるかどうかを調べたい. これに合わせて,可能であれば,複素時間の導入で,複雑化の一途をたどっている計算(特にc(t)からつくられるλ(t)の計算)が改善され得るかどうか,さらに,複素時間を使った場合,(1)や(2)からつくられる舞踏解候補が,いかなるタイプの重力ポテンシャルを示唆するかも調べたい.
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Research Products
(4 results)