2019 Fiscal Year Annual Research Report
Angular dependence of ionization probabilities on the angle between molecular axis and laser polarization direction
Project/Area Number |
17K05593
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 宗良 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (20373350)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高強度光 / イオン化確率の角度依存性 / 回転波束 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,高強度レーザー光による分子のイオン化確率の角度依存性の計測法開発を行い,この手法に基づいた高強度レーザー光の電場と分子軸のなす角度に依存したイオン化確率の決定を行った。この方法では,高強度光により分子の回転波束を生成し,分子軸分布を時間発展させ,遅延時間ののちに第二の高強度光を照射し分子をイオン化する。生成した1価親イオンの収量の遅延時間依存性からイオン化確率の角度依存性を取り出すことができることを示した。 具体的には,高強度光(90 TW/cm2, 790 nm, 148 fs)をNO分子へ照射し回転波束を生成した後,遅延時間をおいて第二の高強度光(200 TW/cm2, 790 nm, 148 fs)を照射してNO+とNO2+を生成した。これら親イオンの収量の遅延時間依存性を測定した。時間依存のシュレディンガー方程式を解き分子軸分布の時間変化をデコンボリューションすることによって,測定したデータから,NO+は分子軸と光の偏光が垂直な時にイオン化確率が大きく,NO2+は分子軸と光の偏光が平行な時にイオン化確率が大きいことを明らかにした。 さらに,分子軸分布の計測を行うために3次高調波を利用する測定法の開発も同時に行った。この装置では,第一の高強度光によって回転波束を生成し,遅延時間の後に第二の高強度光を照射して発生する3次高調波を測定する。3次高調波の強度の遅延時間依存性から,分子軸の時間変化を知ることができる。分子軸の時間変化のシミュレーションと,測定した遅延時間の信号は良い一致を示し,作成した装置を用いて,N2分子の分子軸の時間変化を測定できることを確認した。
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