2017 Fiscal Year Research-status Report
Selective quantum manipulation of atom wave packet by amplitude modulation of the optical lattice
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17K05596
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
渡辺 信一 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (60210902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 弘樹 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (60334497)
中川 賢一 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 教授 (90217670)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 極低温原子 / 光格子 / 量子操作 / 原子干渉計 |
Outline of Annual Research Achievements |
磁気トラップに捕獲された極低温原子に光格子を作用させて、特定のエネルギーバンドに選択的に励起することでコヒーレントな波束を形成して、量子操作を施すための技術を理論的に考察することが本研究の目的である。今年度はこの研究目的に関連するいくつかの成果を得た。 渡辺は研究協力者との連携のもと、光格子の振幅変調という方法でどのような波束が形成されるかを吟味した。振幅変調を連続的に作用させている場合は、擬運動量q=0の初期状態が、2光子吸収で第3励起状態へ共鳴的に遷移するように変調周波数を選ぶと、緩やかに作用する磁気トラップの影響によって波束はトラップ内を運動して、特定の位置において振幅変調と共鳴して1格子放出で第1励起バンドに脱励起する。このプロセスはブロッホ反射を経て逆転して、初期状態へ戻り、以降のプロセスを繰り返す。この非定常波束が安定で周期性を保持するという非直感的な結果を得て、Physical Review誌に報告した。 斎藤は、スピン軌道相互作用する2成分ボース・アインシュタイン凝縮体に関する研究を行った。スピン軌道相互作用がある場合、量子渦対の形状や運動が、スピン軌道相互作用がない場合に比べて大きく違うことを明らかにした。特に、量子渦対やそれらが発生する臨界速度に異方性が現れることを見出した。この成果はPhysical Review誌に掲載された。 中川は、光格子ポテンシャル中の原子干渉計の理論的な解析を行った。またこれを基に原子干渉計の実験を行うため、レーザー冷却用の半導体レーザーの開発および真空チェンバーの製作を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光格子による励起の過程に関する研究を通じて、連続的な光格子を作用させた場合には、新奇な周期的波束が発生することを見出した。光格子が断続的に作用する問題を解析するための足掛かりが出来た。また、斎藤はボース・アインシュタイン凝縮体についての研究で成果を上げている。光格子の他に相互作用による非線形項の関わる現象へ向けて研究が順調に進捗している。中川は原子干渉計の理論的な解析を行い、それを基にその実現方法の検討を行った。また原子干渉計の実現に必要なレーザー冷却用の半導体レーザーを開発し、その性能評価を行った
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Strategy for Future Research Activity |
光格子中の冷却原子の選択的励起および脱励起の過程の研究を推進していく。特に、非線形効果の影響をパルス的励起手法との関係で吟味していきたい。ボース・アインシュタイン凝縮体の場合は、非線形効果をFano-Feshbach共鳴で制御できることから、そのような操作を前提とした系の考察を予定している。また、原子干渉計の具体的な実現方法に関してもさらに検討を加え、これに必要な実験装置の準備を行う。これに伴い、共同研究者間の連携も強化していく。
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Research Products
(5 results)