2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of terahertz-cavity enhanced spectroscopy system
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17K05599
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
菜嶋 茂喜 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 講師 (90347485)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | テラヘルツ波 / エンハンスメント共振器 / テラヘルツ-キャビティエンハンスト分光 / 分光センシング / 増強効果 / テラヘルツ時間領域分光法 / フェムト秒レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,共振器構造を用いて低出力領域のテラヘルツ波(以後,THz波と記す)を増強する手法(=THz-エンハンスメント共振器)を確立し,それを高感度な吸収分光法(=キャビティエンハンスト吸収分光法,CEAS)としての応用を目指している. 2年目のH30年度では,外部共振器の入力・出力結合器の開発とエンハンスメント共振器の評価方法の確立を実施し,以下の成果が得られた. ①.ワイヤーグリッド(WG)は,申請者らが考案した二重構造(二重WG,特願2012-222791 (P2012-222791))を採用し,是迄で最もワイヤー径の細い20 μmを用いた二重WGの作製に初めて成功した.その入力結合(=透過率)の性能をテラヘルツ分光により評価した結果,1 THzの特定の偏光方向に対し1千万分の1の透過率を示し,従来の市販品に比べ千倍以上の消光比を達成した.また微細化に伴い有効範囲も拡大し,1万分の1以下の消光比を示す範囲が4 THzを超え,従来の市販品の4倍以上に達した(これらの研究成果は,第79回応用物理学会秋季学術講演会(発表番号:20a-PB3-9)で報告した).この性能は,エンハンスメント共振器内で1~1000万分の1程度の吸収の変化を高感度に検出する際に有用で,従来のTHz分光では不可能な高感度吸収分光の実現に大きく前進した. ②.THz-エンハンスメント共振器を用いた時間領域分光法によって,吸収感度などの分光性能を定量的に評価する為の定式化と評価方法の確立を行った.赤外(IR)領域で実施されているCEASでは加味されていない(波の遅れや反転といった)位相の影響も分光データの解析処理に取り入れられるようにした.また,入力結合器で発生する反射波など共振器内の伝搬に寄与しない背景光となる影響を,測定される時間波形から除外できるようにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目迄の研究実施計画として記したエンハンスメント共振器の設計およびプロトタイプの作製を達成している.そして,高性能なワイヤーグリッドの作製など,エンハンスメント共振器の性能向上に向けた要素技術の開発に取り組め,成果が得られた.以上から,当初の計画に対し,おおむね順調に進展していると評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に取り組むことができた外部型と内部型のTHz-エンハンスメント共振器に,開発した要素技術を導入して,前回よりも1桁大きな増強度を目指す.一方で,低圧下での気体分子の吸収感度の向上などを目指した長距離のエンハンスメント共振器にも着手していきたい.
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Causes of Carryover |
エンハンスメント共振器で使用する予定のシリコン材料を用いた光学素子が設計の途中で,年度を跨ぐ予定であるから.
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Research Products
(4 results)