2019 Fiscal Year Annual Research Report
Monochromatic thermal radiation from a dielectric microparticle
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17K05603
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
立川 真樹 明治大学, 理工学部, 専任教授 (60201612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金本 理奈 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (00382028)
小田島 仁司 明治大学, 理工学部, 専任教授 (50233557)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 熱放射 / 微粒子 / 光トラップ / 共振器QED |
Outline of Annual Research Achievements |
物体が小さくなるにつれて熱放射スペクトルはどのように放射体の個性を獲得していくのか?我々は、光トラップで捕捉した単一の誘電体微粒子を対象とし、熱放射のサイズ効果を検証してきた。 光トラップ内の単一微粒子からの赤外熱放射が検出限界を下回ることが明らかになったため、今年度は微粒子集団からの赤外熱放射をFTIRによって観測した。アルミナ、シリカ微粒子からの熱放射スペクトルは、バルクの結晶では熱放射が抑制される波長帯でブロードなピークを持つことが明らかになった。 Mie理論によると、μmサイズの球形微粒子の熱放射スペクトルには、球状共振器のwhispering gallery modeのピークが現れる。粒径の縮小とともにWGMの共鳴構造は長波長から順に消失していく。WGMが消えた赤外域には物質に固有の共鳴線が現れ、粒径が1μm以下になるとその放射強度は可視域の放射強度を大きく凌駕する。この赤外共鳴は、有限サイズの結晶の表面フォノンポラリトンであることがわかっており、ナノレベルまで縮小した微小結晶は、表面モードで振動する巨大分子として振る舞い、熱放射がこの共鳴周波数に単色化することを示唆している。表面フォノンポラリトンの周波数は粒子の形状によって決まる。これらはバルクの禁制帯に現れるため、FTIRで観測されたピークは、表面フォノンポラリトンに起因すると推測される。ただし、微粒子の形状が不均一なため、広がりが生じている可能性がある。 ここまでの研究で、熱放射のサイズ効果のシナリオが見えてきたが、クリアな実験データは得られていないのが現状である。光トラップとFTIRでは一長一短あり、特に後者においては形状がそろった試料を模索する必要がある。現在オパールによる実験を計画している。一方、熱放射においてもPurcell効果などの共振器QED効果が現れることが明らかになったのも本研究の成果である。
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Research Products
(2 results)