2018 Fiscal Year Research-status Report
Biomembrane shape regulation by proteins
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17K05607
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野口 博司 東京大学, 物性研究所, 准教授 (00514564)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生物物理 / ソフトマター / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
最近、BARスーパーファミリータンパク質をはじめ、局所的に曲げるタンパク質が見つかっている。しかし、その膜形状の制御機構は不明な点が多い。本研究では多数の膜タンパク質分子の協同的な振る舞いに注目して、膜の形状がどのように制御されているかを、主に数値シミュレーションを用いて探求する。 2018年度は、バナナ状の形状を持ち、一方向に膜を曲げるBARタンパク質のようなタンパク質におけるキラリティの効果を調べた。これまでに、タンパク質が膜チューブを楕円状に変形し、楕円の両端に2列になって凝集することがわかっているが、キラリティを加えると、さらにらせん状の凝集体への構造転移が起こることを明らかにした。平面膜からチューブ形成もキラリティによって促進されることがわかった。論文を投稿中である。また、タンパク質の吸着によって基板上の張り付いた脂質膜が剥離し、ベシクルを形成するダイナミクスについても研究を進めている。 それ以外にナビエ・ストークス方程式の離散化に関する研究も行った。ナビエ・ストークス方程式は角運動量保存則のもとで導かれているが、ずれと体積変化の粘性項に縮退があるため、この方程式自体は角運動量保存を保証しない。そのため、この縮退項をそのストレス起源に基づいて分けて処理しなければ、角運動量保存が失われてしまうことを明らかにした。角運動量非保存の影響はバルクでは生じす、境界において人工的なトルクとして現れる。粘性の異なる相を含む混相流においては、相境界で角運動量を保存されることが、正しい流れが得るため不可欠である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、キラリティの効果、膜の剥離についての研究は順調に進んでいる。また、計画になかったナビエ・ストークス方程式の離散化に関する研究も行った。これは今後、流体力学相互作用を取り入れるための重要なステップである。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は膜の剥離を始め、非平衡状態でのダイナミクスを中心に研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
次年度に計算機を購入するため、繰り越した。
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