2020 Fiscal Year Annual Research Report
Biomembrane shape regulation by proteins
Project/Area Number |
17K05607
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野口 博司 東京大学, 物性研究所, 准教授 (00514564)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生体膜 / ソフトマター / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
最近、BARスーパーファミリータンパク質をはじめ、局所的に曲げるタンパク質が見つかっている。本研究では多数の膜タンパク質分子の協同的な振る舞いに注目して、膜の形状がどのように制御されているかを、主に数値シミュレーションを用いて探求した。本年度は、以下の4つ研究を行なった。 (1)膜状での吸着タンパク質の反応拡散と膜変形のカップリングを研究した。チューリングパターンによりテトラポット状の突起を持つベシクルが形成されることや、逆に膜変形により、チューリングパターンの安定なパラーメタ領域が広がることなどを明らかにした。膜変形と反応拡散は相互に大きな影響を与える。 (2)脂質二重膜中の極長鎖脂質の振る舞いを研究した。反対側の脂質分子層中に伸びた形状から折りたたんだ状態、L字状に層間に沿う形状を行き来することを明らかにした。また、2層間の脂質分子数の差を感知し、その差を減少させるように形状の分布が変化させることがわかった。 (3)脂質膜の物性(曲げ弾性率、ガウス弾性率、自発曲率)を求める新しい計算手法を提案した。仮想変形に基づいた手法で、従来より小さい系で計算可能である。 (4)移動する細胞の前面の生体膜下では、アクチンなどのタンパク質繊維が成長し、膜を押している。このような非平衡定常下での、膜ゆらぎを研究した。平衡下でのゆらぎとは大きく異なることを明らかにした。条件により、特定の波長のゆらぎが増幅することなどがわかった。
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