2018 Fiscal Year Research-status Report
DNA conformational behavior and functions in microcapsules
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17K05611
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
ジンチェンコ アナトーリ 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (00432352)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | DNA / カプセル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度には、カプセル化方法の各段階を最適化およびカプセル内におけるDNA構造変化の観測を中心に研究を実施して、主な成果はつぎの通りである。 (1)ビーズの溶解方法を改善行い、ビーズの溶解後にグロビュール状態のDNAはコイル状態に変化して、カプセル内にコイル状態のDNAを観察できた。 (2)長鎖DNAのカプセル壁への吸着を抑制するため、カプセル膜の組成の変更など検討していた。(i)DNAのトラップの段階においてDNA濃度をあげることによって、カプセル内でブラウン運動するDNAの割合は高くなるが、DNA凝集が起こりやすくなるデメリットがある。(ii)カプセル壁を作成する段階で弱い高分子電解質(例えばPAAとPAH)を用いると、ほとんどの場合にはビーズの溶解ではカプセルの変形や破裂とともにカプセルの凝集が起こる。pH調整によりカプセルの電荷を遮断させる場合にも同上の結果が得られた。また、安定なカプセルが形成したときに、カプセル内にDNAの状態は基本方法を用いて構築したカプセルと同様であった。 (3)長鎖DNAの長さはカプセル内のDNA状態へ大きな影響を与えると考えて、中鎖DNA(約2000 bp)と短鎖DNA(約300 bp)のカプセル化実験を行った。これまで使用していたカプセル化方法を用いて、ほぼ100% DNAをビーズへのトラップできることを示した。高分子膜の作製、ビーズの溶解後に、中鎖DNAはカプセルの空間を占有して、ほぼ均一に分配することを観測し、DNAの長さによりカプセル内のDNA構造および分布が大きく異なると明らかにした。 (4)Mg2+およびポリアミンなどDNAバインダーによるカプセル内でのDNA構造変化を観測行った。長鎖の場合には、大きな変化が見られなかったが、中鎖と短鎖DNAは、カチオン性のバインダーを溶液に加えることでカプセル膜付近に凝集することを観測した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度には、当初の計画において提案した方法で人工細胞モデルを構築し、各段階における長鎖DNA分子の高次構造変化、カプセル内の分布など的評価できた。2019年度には、人工細胞モデルの構築に用いられるDNAおよび高分子について方法の最適化を行い、カプセルの安定性、カプセルに閉じ込めたDNA構造、カプセル内でのDNA分布などを統計的に検討して、本モデルの scope and limitationsを示した。また、溶液中のカチオン性化合物によるカプセル内でのDNA挙動を明らかにした。以上のことから、本研究は当初の計画通りにおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
人工細胞モデルを利用して、カプセル内におけるDNA構造変化および転写活性について研究を実施する。(1)カプセル内でのDNAに対する高分子混雑(macromolecular crowding)の影響を解明する。(2)DNAカプセル化によりDNA損傷の保護作用を調べる。(3)カプセル化したDNAを用いて、カプセル内での生化学反応(転写)を行い、人工細胞モデルのバイオリアクターとしての使用の可能性について明らかにする。以上の実験は長鎖DNAおよび短鎖DNAで実施して、DNAの長さの影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
当該年度に海外国際学会にて発表をする機会がなかったため、旅費として使用する予定であった助成金を翌年度に繰り越して、翌年度に同目的で使用する。
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Research Products
(4 results)