2018 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical study of Earth/planet-forming materials in Earth's inner core and deep inside of exoplanets
Project/Area Number |
17K05627
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
梅本 幸一郎 東京工業大学, 地球生命研究所, 研究員 (60726991)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 第一原理計算 / 地球惑星構成物質 / 超高圧物性 / 相転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、地球や地球型系外惑星(スーパーアース)深部に相当する温度圧力条件で地球惑星構成物質がどのような性質を持つかということを、第一原理計算で調べることを目的としている。平成30年度では以下について研究を行った。 -- 昨年度に引き続き、地球外核の温度圧力条件における液体鉄合金の密度と音速を、温度、圧力、軽元素の濃度の関数として計算し、地震波測定(PREM)と整合的な軽元素の濃度を推定した。本年度では、昨年度で行なっていた研究に加えて、ニッケルの影響、さらには5つの軽元素(水素、ケイ素、硫黄、酸素、炭素)全てを含めた場合を考慮した。外核内核境界温度あるいはニッケル濃度の上昇に伴い、PREMに整合する濃度範囲は広くなることを示した。整合する濃度範囲のほとんどが水素を含んでいることから、水素がもっとも有力な軽元素候補であることを示した。(投稿中) -- 昨年度に引き続き、Mg-Si-O系のアナログ物質であるMg-Ge-O系とNa-Mg-F系について、超高圧の相転移を研究した。Mg-Ge-O系はGd2S3型MgSiO3およびMg2SiO4に関連する相転移のアナログ物質として、Na-Mg-F系はU2S3型MgSiO3およびMgSi2O5についてのアナログ物質として使えるということを予言した。(投稿中) -- 実験家との共同研究として、面心立方構造をもつ固体FeHについて状態方程式の計算を行った。60GPa付近で磁気転移とそれに伴う状態方程式の変化を示し、実験で得られた圧縮挙動の変化の説明を与えた。(投稿中) -- MgSiO3ポストペロブスカイトのMg2SiO4+MgSi2O5への分解に対して、不純物アルミニウムを入れた場合の影響を調べた。MgSiO3のアルミニウム濃度を変化させ、分解圧力がどのように濃度に依存するか、アルミニウムが分解時にどのように分配されるかを調べた。(論文執筆中)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
液体鉄合金の研究に予想以上に時間がかかってしまったが、予定していた固体鉄合金やMgSiO3アナログ物質の研究も完了し、MgSiO3分解反応の不純物の影響も結果が出始めている。また、準調和近似では扱えない非調和効果の研究も開始することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
Mg-Si-O系における分解圧力へのアルミニウム以外の不純物(鉄)の転移圧力への影響の計算を行う。 Mg-Si-O系において、これまで準調和近似を用いて高温領域の研究を行ってきたが、分子動力学を用いて、高温における非調和性の考慮が必要になるかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
(理由)新たな端末を購入する必要がなかった。計算機資源の利用および旅費が予想より少なかった。 (使用計画)新たな端末やデータ保存のためのハードディスクの購入を必要に応じて行う。オープンアクセスジャーナルへの積極的投稿を目指す。
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Research Products
(9 results)