2018 Fiscal Year Research-status Report
重力異常データを用いた活構造解析の高度化と横ずれ断層系への展開
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17K05629
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
平松 良浩 金沢大学, 地球社会基盤学系, 教授 (80283092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠本 成寿 富山大学, 大学院理工学研究部(都市デザイン学), 教授 (50338761)
岡田 真介 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (50626182)
田中 俊行 公益財団法人地震予知総合研究振興会, 東濃地震科学研究所, 主任研究員 (60462941)
本多 亮 山梨県富士山科学研究所, その他部局等, 研究員 (70399814)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 重力異常 / 活断層 / 中央構造線断層帯 / 断層構造 / 重力勾配(偏差)テンソル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度に重力測定の対象とした地域は中央構造線断層帯讃岐山脈南縁部周辺である。2018年7月18日~25日および9月17日~21日にかけて重力測定を実施した。これらの測定データと既往の重力測定データを用いて、2600 kg/m3 の補正密度でブーゲー補正および地形補正を行い、ブーゲー異常データを作成した。ブーゲー異常分布および各種重力勾配分布と地表におけるセグメント境界位置および隣接する横ずれ断層による理論的な重力異常分布から得られる重力勾配とを比較検討した結果、断層走向方向の水平勾配がセグメント境界の検出に有効である可能性が高いことが判明した。 また、阿寺断層系で断層構造評価を行った結果、左ずれが卓越する阿寺断層帯では、舞台峠周辺で破砕帯および共役断層の影響を反映する特徴が見られた。南東側隆起の逆断層が卓越する屏風山・恵那山断層系では、物質境界(堆積層と花崗岩類)の屏風山断層が低角、花崗岩類中の恵那山断層と堆積層中の手賀野断層が高角となる特徴が最大固有ベクトルの解析から得られた。また、1984年長野県西部地震の震源断層付近にも断層的な特徴が見られた。 さらに、1927年北丹後地震の震源断層であり、花崗岩体中に分布する郷村断層帯および山田断層帯において、活断層の地下構造推定に対する物理探査の適用可能性について検討した。横ずれ断層帯ではCSAMT探査が有効な調査手法の1つになり得るが、断層以外の要因の低比抵抗も捉えることがあるため、他の弾性波探査等と比較することが重要である。また、弾性波とは異なる物理量を用いた重力探査とも比較する必要があることが分かった。また、断層帯の成熟度や破砕帯幅が比較的大きい断層のほうが断層の地下構造を捉えやすいと考えられる。 2019年3月6日~8日に金沢大学にてワークショップを開催し、本年度の解析結果および次年度の研究計画を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中央構造線断層帯讃岐山脈南縁部周辺での稠密な重力測定、既往重力測定データのコンパイル及び高精度地形グリッドデータを用いた地形補正により、従来よりも高精度かつ断層帯周辺での空間分解能が高いブーゲー異常データを得た。横ずれ断層系のセグメント境界の指標となりうる重力異常およびその勾配の特徴について比較検討を行った結果、重力異常の水平勾配の変化を用いてセグメント境界が検出できる可能性が高いことが判明した。また、阿寺断層系や郷村断層帯および山田断層帯においても重力異常データを用いた解析を行い、地下の断層構造の特徴を把握した。 また横ずれ断層の変位による理論重力異常値を計算するプログラムを作成し、複数の横ずれ断層が隣接しセグメント境界がある場合の重力異常値およびその各種勾配値の空間分布の特徴について検討を進めた。 前年度および今年度の研究成果について、国内学会7件、国際学会1件の発表を行った。中央構造線断層帯讃岐山脈南縁部周辺での研究成果については2019年秋の日本地震学会や日本測地学会、2019 AGU Fall Meetingにて発表を行う予定である。
上記のことから現在までの進捗状況は概ね順調であると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度には、日本全国における主要な横ずれ断層系の活断層帯に対して、断層帯の成熟度や破砕帯幅を基準とした選択を行い、その活断層帯に対して重力勾配テンソルを用いた解析結果の検討と数値シミュレーションの結果との比較を並行して実施する。それぞれの活断層帯で得られた解析結果を取りまとめ、横ずれ断層系における断層形状・運動様式・セグメント区分を解明する活構造評価の高度化についての知見をまとめる。 平成30年度までの成果および令和元年度の研究結果のとりまとめを行うワークショップを適宜開催し、国内および国際学会での発表や学術論文の作成を進め、学術雑誌への投稿を行う。
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Causes of Carryover |
国際学会への参加に対する旅費支給が当初計画より1件減少したため、次年度使用額が生じることとなった。これについては学会参加旅費とし次年度に使用する予定である。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] 横ずれ断層における各種物理探査の適用可能性の検討(その1:浅層反射法地震探査・屈折法地震探査・CSAMT探査・重力探査)―郷村断層帯および山田断層帯における事例―2018
Author(s)
岡田真介, 坂下 晋, 今泉俊文, 岡田篤正, 中村教博, 福地龍郎, 松多信尚, 楮原京子, 戸田 茂, 山口 覚, 松原由和, 山本正人, 外處 仁, 今井幹浩, 城森 明
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Journal Title
物理探査
Volume: 71
Pages: 103-125
Peer Reviewed
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