2018 Fiscal Year Research-status Report
Seafloor geodetic measurements and modeling of the subduction processes along the southernmost Ryukyu trench
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17K05630
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
安藤 雅孝 静岡大学, 防災総合センター, 客員教授 (80027292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 衛 琉球大学, 理学部, 教授 (60295293)
生田 領野 静岡大学, 理学部, 准教授 (60377984)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 背弧拡大 / スラブサクション / 前弧のせり出し / プレート間の固着 |
Outline of Annual Research Achievements |
波照間島南50km沖での海底地殻変動の観測、解析を行った。 本年度はデータ解析手法の大幅な改善が行われた。海中の音速構造の水平方向の変化に対し、船の移動による音波速度の変化から、音速構造の空間勾配を予測して効果的に解く手法を開発した。この手法の導入により、1エポック毎の海底局の位置推定誤差が±7cmから±5cm程度と、従来より大幅に向上させることができた。この手法をこれまでのデータに適用し、5年間にわたる海底局位置の変化を高精度に得ることができた。 結果、石垣島、西表島、波照間島などの琉球弧と波照間島南沖の前弧海盆の間は、±12mm/yrの精度で伸びも縮みもしていないことが明らかになった。このことは、波照間島直下のプレート境界に固着が無いことを示している。これを波照間島直下で超長周期地震が頻発していること、その背後の西表島直下で繰り返しスロースリップ地震が起きていることと合わせると、海底局直下にはスロースリップや超長周期地震のみを起こせるような弱い固着が孤立して存在しており、その周辺に大きな地震を起こせるような強い固着が無いことが示された。また陸上GNSSで西表島と波照間島間にみられる若干の伸び(南北に1mm/yr程度)が、前弧ウェッジの海底地殻変動観測点まで続いており、前弧自体が伸張が支配的な場であることがわかった。仮に前弧ウェッジの、海底局よりさらに海溝側でプレート間の固着があったとしても、ごく浅く限られた領域であり、強震動を発生するような地震すべりよりは、津波地震に近いものになるだろうことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで計画していた観測を無事終え、予定通りの高品質な音響・GPS・船の姿勢データを得ることができた。昨年度までの結果に加えて、新たに1エポックの海底変動データを得られた。 また今年度は過去のデータを合わせ、新たにデータの解析手法の改良を行った。これにより波照間島南沖の海底の南進速度を、±10mm/yr程度の高精度に求めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は夏場に1回の海底地殻変動観測を予定している。ただし前年まで用船していた船が改修で使用できないため、別の船を用立てし、新たに船上の観測機器の設計設置を行う。このため2度の石垣島訪問を予定している。 得られたデータに改善を行った解析手法を適用し、この6年間の観測から得られる前弧の移動ベクトルから、さらに精度よく、プレート間の固着、前弧の伸張の状態を見積もる予定である。
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Causes of Carryover |
旅費の節約をして支出の削減ができたため、次年度合算をして図書・消耗品の購入に充当する予定である。
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Research Products
(2 results)