2019 Fiscal Year Research-status Report
Building of global geological map of the Mercury by using auto classification algorithm
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17K05641
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
晴山 慎 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (60327286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 吉明 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 特別研究員 (80400232)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 水星 / 分光スペクトル / 自動分類 / 地質学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、水星の地殻形成史に迫るために、米国の水星探査機「MESSENGER」により取得された様々なデータを用いた水星全球の地質図を作成することを目的としている。 昨年度までに可視・近赤外分光スペクトル分類主題図と元素濃度分布図との定量的な比較から、元素濃度分布との強い相関は見出されず、宇宙風化の度合いや表面ラフネスなど元素濃度以外の水星表面状態によって分類されている可能性を明らかにした。そこで本年度は、宇宙風化度に関係する可視・近赤外分光スペクトルの傾き分布図、表面地殻形成年代と関係するクレーター密度分布図、および可視・近赤外分光スペクトル分類主題図との定量的比較を行い、宇宙風化に関係するかの分析を行った。その結果は、強い相関関係ではないが、スペクトル傾き量とクレータ密度の間には逆相関の傾向が見られ、スペクトル分類主題図でスペクトル傾きが大きな分類クラスが多い北半球ではクレーター密度が比較的小さく、スペクトル傾きが小さな分類クラスが多い南半球では、クレーター密度が比較的大きいという傾向が見られた。また、分類クラスごとの等面積領域中の分布数密度の解析によって、最もスペクトルの傾きが急な分類クラスはその等面積領域中の最大分類となることはほとんどなく、ごく小さな領域に露出していることが明らかなになった。さらに、分類クラスの数密度分布と平均スペクトル傾き量との間には、クラスのよって相関関係に明らかな違いがあることが見出された。 これらの結果は、2020年3月に行われる予定であった51th Lunar and Planetary Science Conference (以下、LPSC2020) にてポスター発表としてアクセプトされたが、covid-19の影響により中止となった。なお、要旨についてはLPSC2020のウェブサイトから閲覧が可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の遅れであったクレーター密度分布図の作成を行い、分光スペクトル分類図、元素分布図およびクレーター密度分布図から水星の地殻形成に関する考察を行ったので、概ね順調に視点したと考えることができる。ただし、クレーター密度分布図については、当初クレータ検出アルゴリズムを用いて本研究独自に作成する予定であったが、水星のクレーターへの適用には多くのパラメータについて検討が必要であり、そのこと自体が一つの研究テーマとなりうることが明らかになった。そこで、クレーター密度分布については、先行研究の結果を用いて行った。 また、本年度中に本研究に関する論文投稿の予定であったが、現在も執筆中であり、投稿には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの研究のまとめを進め、論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
2020年3月に行われる予定であった米国での国際学会である51th Lunar and Planetary Science Conferenceが、3月上旬にCOVID-19の影響により中止と決定したため。予定していた旅費・参加費としての使用ができず、次年度使用額が生じた。次年度の使用計画は、論文投稿費および国内学会等への旅費として使用する予定である。
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