2020 Fiscal Year Annual Research Report
Orbital evolution of high-speed planetesimals generated by the Jovian formation and their effects on surrounding materials
Project/Area Number |
17K05642
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
長澤 真樹子 久留米大学, 医学部, 教授 (00419847)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 惑星形成・進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,太陽系形成初期に木星という巨大惑星が形成されることを引き金として生じる微惑星の位置と速度の変化を調べ,高速となった微惑星が原始惑星系円盤内で衝撃波を起こすことで生じる加熱が,微惑星の蒸発,ダストのシリケイト結晶化,そしてコンドリュール形成にどの程度関与するかを求めた。 まず,微惑星による衝撃波が強く影響するには,円盤の永年摂動の効果,つまり原始惑星系円盤の自己重力の効果が重要であった。また結果は,木星の位置,質量,離心率,円盤の密度,微惑星のサイズに依存している。ごく大雑把には,現在の木星の位置,サイズ,離心率,最小質量円盤程度の円盤のときに効果が大きい。これは,木星や原始惑星系円盤の影響が弱いと,微惑星は十分な速度に達することができず,逆に強すぎると微惑星は散乱されて失われてしまうことによる。微惑星は大きい方が影響が強いが,1000 kmサイズ位になるとガス抵抗が効きにくく,木星の共鳴で微惑星自体が失われやすい。 周囲の加熱に寄与するのは50 kmを超えるような微惑星である。氷の蒸発,シリケイトの結晶化,コンドリュールの溶融の順に必要な微惑星速度は高く,必要速度が達成されている時間は短くなる。平均的には,1つの微惑星についてシリケイトの結晶化に必要な速度の出ている時間は1000 kmサイズで5万年ほど,50 kmサイズで1000年程度である。高速度になるまでの時間もサイズに依存するため,微惑星の高速度が終了するまでの時間は,微惑星のサイズに寄らずに必要速度が出ている時間の100倍程度となっていた。つまり,木星形成からあまり時間が経っていないうちは,ひとつひとつは時間は短いが,たくさんの小さな微惑星が高速となって周囲の加熱などに寄与し,木星形成から時間が経つと,あまり数の多くない大きな微惑星が長時間広い範囲にわたって影響を及ぼす描像となっていることが判明した。
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