2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study of lunar internal structure by combining geophysical observation and thermochemical constraints
Project/Area Number |
17K05643
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
松本 晃治 国立天文台, RISE月惑星探査プロジェクト, 准教授 (30332167)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 月内部構造 / マントル組成 / 潮汐加熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染症の拡大が収束せず、電磁気データの取り込みに関するface to faceの議論を進めることができなかった。そこで、これまで行った定式化を用いて、ある仮定の下に測地学的、地震学的、および地球化学的データを調和的に説明する月内部構造モデルを提示することを目指した。マントルの組成と温度との間にトレードオフがあることを踏まえ、マントル温度構造はKuskov et al. (2019)のcoldモデルとhotモデルの中間であると仮定した。マントルを4分割し、 かつて存在したLunar Mama Ocean (LMO)は上部3層の深さまで達し、化学組成的に混合していると仮定した。これはマントルを化学組成の観点で2層、地震学の観点で4層に分けることに相当する。Al2O3のバルク量に関して、Bulk Silicate Earth (BSE)的なモデルと難揮発性元素に富むBulk Silicate Moon的なモデルの二つを考慮した。 インバージョンの結果、次のことが示された。月マントルのFeO のバルク量は12~13 wt%、Mg#は79~81と推定され、BSE (FeO ~ 8wt%、Mg# 89)とは異なる組成を持つ。上部マントルを構成する鉱物はolivineよりlow-Ca orthopyroxeneが支配的であることが示唆される。マントルの最下層は、その上の層よりもAl2O3 に富むことが示唆される。すなわち、全体的に化学組成が均質なマントルの可能性は低い。月震データがないため、深さ1200km以深の構造の不確定性は大きいが、流体外核直上に厚さ100~300kmの低速度層が存在することが示唆され、流体外核の半径は300~350kmの可能性が高い。これらの結果は研究協力者Ekaterina Kronrod氏を中心として論文にまとめ、Icarusに投稿した。
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Research Products
(2 results)