2019 Fiscal Year Annual Research Report
New theory of Geostrophic turbulence by Rossby wave breaking and saturation
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17K05651
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 博 筑波大学, 計算科学研究センター, 教授 (70236628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺崎 康児 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 研究員 (80548842)
松枝 未遠 筑波大学, 計算科学研究センター, 助教 (80738691)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ロスビー波の砕波 / ロスビー波の飽和 / 大気大循環 / 傾圧不安定波 / 地衡風乱流 / ノーマルモード / エネルギースペクトル / E=mc 2 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度には、これまでに実施した解析的な鉛直構造関数の研究を背景に、ノーマルモード展開による3Dスペクトルモデルを用いたロスビー波砕波と飽和に関する数値モデル実験が、松信・田中の共同研究として実施された。この研究では、指数関数的に増幅する傾圧不安定波をパラメタライズした順圧Sモデルにおいて、増幅する不安定波が臨海振幅で砕波し、E=mc 2によるロスビー波飽和スペクトルが形成されるプロセスが、時系列を追って丹念に調べられた。総観規模でのエネルギー供給は、ロスビー波の砕波により飽和することで、よりスケールの大きいプラネタリー波へ逆カスケードし、E=mc 2による乱流スペクトルがプラネタリー波領域へと拡大する。そして、乱流によるエネルギー逆カスケードが止まるラインズスケールに蓄積される。このスケールはロスビー波の西進が帯状偏西風とバランスして停滞波となるスケールである。また、このスケールは支配方程式において、乱流を支配する非線形項とラプラス潮汐振動数で規定される線形項とがバランスするスケールでもある。線形項が卓越する大スケールでは、乱流を支配する非線形項が効かなくなることが原因である。逆カスケードが止まることで、このスケールに過剰にエネルギーが蓄積され、渦位の南北微分が負になる飽和点を超えているのに砕波の途中で定常化している現象がブロッキングである。ラインズスケールで過剰に蓄積され、ブロッキングを形成したエネルギーの唯一の行き先は、帯状渦動相互作用による帯状平均流の加速である。この結果、寒帯ジェットの加速として北極振動モードが増幅する原因となることを明らかにした。以上の研究成果は、これまで地衡風乱流理論で説明されてきた大気大循環のエネルギースペクトルが、ロスビー波の砕波と飽和理論によって書き換えられることを実証する成果である。
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Research Products
(9 results)