2019 Fiscal Year Research-status Report
アンサンブルデータ同化を利用した大気海洋結合モードの抽出とその短期予測への応用
Project/Area Number |
17K05663
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
小守 信正 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(アプリケーションラボ), 主任技術研究員 (80359223)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 海洋物理・陸水学 / 気象学 / 大気海洋相互作用 / データ同化 / 季節変動予測 / アンサンブル |
Outline of Annual Research Achievements |
短期変動予測への応用に資するため一昨年度までに構築した、全球大気海洋結合モデル CFES へ海面水温の観測データのみを簡便な手法(ナッジ法)を用いて同化する試験的な季節予測システムについて、これまで季節毎に年4回(3月1日・6月1日・9月1日・12月1日)実施してきた6ヶ月間・12メンバーでの予測実験を、毎月1日からの予測実験へと拡張した上で、準リアルタイムで継続した。その有用性を確認するため、特に大気海洋結合過程が重要となる熱帯域のエルニーニョ・南方振動現象やインド洋ダイポールモード現象の予測スキルを評価し、既存のシステムと比肩しうる性能であることを確認した。 また、大気大循環モデル AFES において、黒海やカスピ海など、全球を対象とした数値モデルでは三次元的に計算することが困難な内海に関して、これまでは他の湖沼と同様に水深一様の陸水として取り扱っていた。その結果、 AFES に局所アンサンブル変換カルマンフィルタ (LETKF) を適用して構築した再解析データセット ALERA2 においても、これら内海の水温変動の位相や振幅にバイアスが生じ、周囲の解析結果にも影響を与えていた。そこで、非一様な水深分布を入力可能なようにシステムを改良し、AFES を用いた数値実験を通じて、より現実的な水温変動が再現できることを確認した。これにより、CFES を用いた再解析データセットやそれらを初期条件とした季節予測においても、バイアスが低減し精度が向上することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
大気海洋結合モデルを用いた短期予測システムの構築およびその性能評価に当初予定より多くの時間を要し、また、予測精度向上のためのシステム改良が必要となったため、予定していた論文の執筆および投稿が完了しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要に記載した成果について論文にまとめ、国際誌に投稿する。 アンサンブル手法を用いて海洋大循環モデル・全球大気海洋結合モデルへ海洋観測データを同化するシステムを構築し、海洋の局所化スケールを変えた実験などを行い、『強結合』データ同化システムの開発に向けた基礎的な知見を得る。
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Causes of Carryover |
予定していた論文の執筆および投稿が完了しなかったため、英文校閲に関する費用や論文投稿料などの支出に至らなかったことが主な理由である。 これらは次年度に実施するため、そのための費用として使用する予定である。
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