2018 Fiscal Year Research-status Report
Quantitative investigation on uncertainty included in oceanic interannual variability forced by interannually varying atmosphere
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17K05665
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
野中 正見 国立研究開発法人海洋研究開発機構, アプリケーションラボ, グループリーダー (90358771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高谷 康太郎 京都産業大学, 理学部, 准教授 (60392966)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 海洋経年変動 / 不確定性 / 海洋大循環モデル / アンサンブル実験 / 海洋渦 |
Outline of Annual Research Achievements |
多量の熱や栄養塩を輸送し、気候にも海洋生態系にも大きな影響をもたらす黒潮やメキシコ湾流などの強い海流の経年的な変動は風の変動が駆動すると理解されている。そして、この理解に従って数年先の海流変動予測のための研究も推進されている。ところが、最近の研究から、強い海流の経年変動には、風の変動に関係なく勝手に生じる成分があることが示されて来た。つまり、同じ風の状態の下でも、その勝手な変動の分だけ、異なる状態が現れうるということである。このような「不確定」な成分が大きければ、これまでの「風変動に駆動される海洋変動」という常識が覆されることになり、強い海流の数年先までの予測も本質的に困難であることになる。この「不確定性」の大きさを時空間的な分布も含め定量評価することが本研究の目的である。 このため、本研究では10メンバーアンサンブル・50年間の渦解像海洋モデル経年変動積分を実施し、その出力を解析する。平成29年度の積分を継続し、2017年1月1日までの10メンバーアンサンブル積分を完了した。また、アンサンブル間の相違に関する統計量のメンバー数への依存性を確認する目的で、1965年1月1日から1981年1月1日の期間で更に10メンバーを追加する積分を実施した。 積分結果の解析から、1. 30年間の長期平均場においても、黒潮等の西岸境界流域や南極周極流域では自励的(海洋内で勝手に生じる)成分が含まれ、特に黒潮続流の北側分岐が生じる海域ではその影響が大きいことが示された。また、黒潮続流上流部の流速は、十年規模変動は主に風変動に起因する一方で、経年変動には自励的な成分が大きく、不確定性が大きいことが示された。これは、黒潮続流の流速変動は、経年的な変動に注目すると予測が困難であることを意味する。 また、本研究に関連し2つの国際学会(ECCWO、AGU Fall Meeting)でセッションを開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
経年変動する大気が駆動する海洋経年変動に含まれる「不確定性」を定量評価するため、本研究では、僅かに異なる初期値から、同一の大気外力を与えて海洋モデルを駆動する「経年変動アンサンブル積分」を実施する。「不確定性」の出現に重要な海洋渦と強い海流を解像可能な、水平解像度0.1°の海洋大循環モデル を、2日分ずつの相違を持つ10種類の初期値から、観測に基づく大気外力を与え50年間積分する。この10メンバーアンサンブル海洋経年変動50年積分の出力から、1. 海洋経年変動の不確定性の時空間分布、2. 不確定性の大きさと背景場(大気外力によって駆動されるアンサンブル平均場)の関係、3. 不確定性の発達機構、を明らかにする計画である。 平成29年度から引き続き、1965年1月1日から2017年1月1日までの大気再解析データを外力とする経年変動積分を完了した。また、解析結果のアンサンブルメンバー数への依存性を確認するために、1965年1月1日から1981年1月1日の期間で更に10メンバーを追加する積分を実施した。10メンバー・50年積分の結果から、30年間の長期平均場における不確定性の空間分布と、黒潮続流域に注目した不確定性の時間スケール依存性を明らかにした。また、太平洋の大部分に分布する東西流のジェット的構造の不確定性に関する解析も進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、上記の平成30年度までに得られた成果を取りまとめ、論文投稿の準備を進める。それとともに、気象学で得られた最新の知見を活用し、背景場から変動場へのエネルギー変換に注目した解析から、不確定性の大きさと背景場の関係や不確定性の発達機構に関する探求を進める予定である。一方で、10メンバー・50年積分の膨大な出力データの整備を進め外部研究者への提供を可能にする。これにより国内外の研究者との共同研究を通じて本研究で得られたデータの多角的な活用を図る。
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Remarks |
本研究で作成した10メンバーアンサンブル渦解像海洋モデルの出力を表示するウェブページ
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Research Products
(8 results)