2020 Fiscal Year Research-status Report
太陽圏境界領域における多成分プラズマのエネルギー分配メカニズムの研究
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17K05666
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
坪内 健 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 客員研究員 (60397601)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 太陽圏 / ピックアップイオン / ヘリオポーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽圏境界領域で発生するプラズマ構造の成長過程およびこれに伴う粒子成分のエネルギー・空間分布変動を数値シミュレーションで検証する本研究において、特に太陽圏境界から地球へ飛来する高速中性粒子(ENA)の元の成分と考えられている星間空間ピックアップイオン(PUI)のダイナミクスに関して以下の解析を進めた。
(1) 太陽圏境界に速度シアがある場合に生じるケルビン=ヘルムホルツ不安定(KH)の成長過程について、これまで計算資源の関係で実際より低く設定していた太陽圏ー星間空間のプラズマ密度比を、より現実的な値にした計算を行った。従来の計算で見られた、KH成長の非線形段階における乱流の発生が抑制されて、KH渦の形成がより明瞭に確認された。今回の計算結果を反映したPUI密度の空間分布特性をENA観測に関連付けることによって、太陽圏境界のKH不安定を観測データから検出するための条件を検証した。
(2) 太陽風と星間プラズマの接触によって形成される終端衝撃波から太陽圏界面に至る太陽圏外縁(ヘリオシース)構造を再現した1次元ハイブリッドシミュレーションより、PUIの相対密度の増加に伴ってヘリオシースの厚みが増すことを見出した。この結果に基づいた解析モデルを構築し、PUI密度とヘリオシースの厚みに関する定量的関係を導出した。これより、不確定パラメータであるPUI密度を、観測されたヘリオシースの厚みから概算できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、研究機関への立ち寄りの制限が長引いた他、研究活動以外の主に教育活動に割く時間が想定外に増加したことから、エフォートを充足するに十分な研究時間の確保が困難だった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間は終了しているが補助事業期間再延長の申請が承認されたことを受け、今後は本計画で得られた、まだ論文として公表していない残りの成果についても論文による発表を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い研究活動の中断等の影響を受け、当初の研究計画を大きく変更せざるを得なかった。繰越額は公表予定の論文の出版関連費用に使用する。
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