2022 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of energy partitioning in multi-component plasmas around the heliospheric boundary region
Project/Area Number |
17K05666
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
坪内 健 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 客員研究員 (60397601)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 太陽圏 / 太陽風 / ピックアップイオン / ヘリオポーズ / 終端衝撃波 |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽圏境界領域で発生するプラズマ構造の成長過程およびこれに伴う粒子のエネルギー・空間分布変動を数値シミュレーションで検証する本研究では、特に太陽圏境界から地球へ飛来する高速中性粒子(ENA)の元の成分と考えられている星間空間ピックアップイオン(PUI)のダイナミクスに関する解析を進めてきた。2022年度は太陽風と星間プラズマを互いに衝突させて終端衝撃波(TS)と太陽圏界面(HP)双方の成長過程を再現する1次元ハイブリッドシミュレーションの結果から、TS下流域(ヘリオシース)におけるPUIのエネルギー分布がPUI密度にほとんど依存していないことを確認し、粒子の加速効率という観点ではPUI密度の寄与は小さいことを立証した。また研究期間全体を通じて実施した研究成果は以下の通りである。 (1) PUIが太陽圏内部で受ける粒子加速過程として、太陽風中のプラズマ圧縮領域(CIR)が連続して出現する系におけるCIR境界の衝撃波成長フェイズとPUIのエネルギー獲得との関連性について考察し、衝撃波ドリフト加速から1次フェルミ加速に移行する二段階のメカニズムが働くことによってCIR単独の場合と比べて非常に効率の良い加速が生じることを明らかにした。 (2) 太陽風プラズマー星間プラズマ間でせん断流を成しているHPに沿ってケルビン・ヘルムホルツ不安定性(KHI)が発生した際、誘起されるプラズマ・磁場のパルス構造にPUIが捕捉されて局所的な濃淡のパターンが生成され、これが衛星観測で発見された太陽圏境界構造の非定常性を示唆することを示した。 (3) TSからHPに至る太陽圏外縁構造の成長過程の再現結果からPUI密度とヘリオシースの厚みの間に正の相関があることを明らかにし、ヘリオシースの厚みに関する通常の流体モデルによる予測と実際の観測結果との比率を用いてPUI密度を推定する可能性について言及した。
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