2017 Fiscal Year Research-status Report
工学的アプローチに基づいた,宇宙自然プラズマ波動の自動識別・知識発見に関する研究
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17K05668
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松田 昇也 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 学振特別研究員(PD) (20772213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 達人 福井大学, 学術研究院工学系部門, 講師 (10736862)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | プラズマ波動 / 機械学習 / 科学衛星 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,機械学習によるプラズマ波動の分類基盤を形成するために,複数の機械学習手法と特徴量抽出手法の組み合わせを検討し,各組合せで得られた結果の分類精度を比較した.学習対象は,2016年に打ち上げられたERG(あらせ)衛星に搭載された,プラズマ波動観測器PWEによって観測された電磁界スペクトルデータを用いた.分類対象として,ERG(あらせ)衛星が飛翔する内部磁気圏のエネルギー階層間結合の担い手である「コーラス波動」と呼ばれるプラズマ波動を取り上げた.1時間毎に区切った周波数時間スペクトル(ダイナミックスペクトル)に波動が含まれるかどうかを,まずは専門家が目視で判定し,学習のためのラベルとした.ラベルとデータを機械学習系に入力して現象を自動判定させ,その精度を確認したところ,取り上げた複数の組み合わせ手法のいずれでも約80%の精度で結果が得られることと,ラベルの偏りやサンプル数の問題で精度にばらつきが見られることが分かった.高精度な分類を安定的に実現するために,ラベルの拡充を図るとともに,プラズマ波動の出現と対応関係が見られる外部パラメータ(現象が現れやすい周波数の情報,現象が観測されやすい位置の情報など)を取り込んで判定要素に加えることを次年度以降に検討したい.また,プラズマ波動の種類に依らない分類を目指し,コーラス波動以外のプラズマ波動現象(電磁イオンサイクロトロン波動,磁気音波,など)も対象に加えて評価を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ERG(あらせ)衛星のプラズマ波動観測器PWEによって観測された電磁界パワースペクトルデータを用いて,コーラス波動を例に挙げて抽出するためのスキームを確立した.また,複数の機械学習手法と特徴量抽出手法の組み合わせで分類の精度を検証した.プラズマ波動分類に適した特徴量抽出の手法は今後検討の余地があり,次年度以降の課題としたい.
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Strategy for Future Research Activity |
高精度な分類を安定的に実現するために,ラベルの拡充と外部パラメータの取り込みを検討する.
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Causes of Carryover |
当年度は研究基盤作りに注力し,それを用いた成果を次年度以降に積極的に学会・論文誌等で発表する計画である.次年度以降に,学会参加費や渡航費等にまとまった金額が必要であることが見込まれることから,当年度の受領額の一部を次年度に使用することとした.
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