2017 Fiscal Year Research-status Report
新しいトモグラフィ法で明らかにするオーロラ波状構造形成における非一様電離圏の役割
Project/Area Number |
17K05672
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
田中 良昌 国立極地研究所, 研究教育系, 特任准教授 (50425766)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 全天並列カメラシステムの構築 / オーロラトモグラフィ国際共同キャンペーン観測 / EISCATレーダー特別実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
・高感度CCDカメラやフィルター等を購入し、波長428nm、558nm、630nm、及び、カラー画像を同時撮影可能な全天並列カメラシステムを構築し、国立極地研究所の光学校正室で感度校正を行った。このカメラシステムをノルウェー・シーボトン天文台に設置し、2018年2月上旬から3月下旬までオーロラ連続観測を実施した。 ・2月14-18日の期間、欧州非干渉散乱(EISCAT)レーダーとスウェーデン宇宙物理研究所の高感度CCDイメージャ群「ALIS」、フィンランド気象研究所のEMCCDイメージャ群「MIRACLE」、極地研の全天並列カメラシステムによるオーロラトモグラフィ国際共同キャンペーン観測を実施した。同期間、太陽風擾乱が到来してオーロラ活動が活発となり、サブストーム時のWestward Traveling Surge (WTS)、Eastward Expanding Auroral Surge (EEAS)、オメガバンド等のオーロラ渦構造の多点同時観測に成功した。 ・複数の研究集会で、上記の観測結果について報告を行った。 ・代表者が開発したオーロラトモグラフィ解析ツールに加えて、入射電子から複数波長のオーロラ発光強度高度分布を計算するツール、及び、電離圏の等価電流と電気伝導度から電離圏電場と沿磁力線電流を計算するツールを研究協力者から提供してもらい、効率的な解析が進められるように整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・精度の高いトモグラフィ解析結果を得るため、多波長(428nm、558nm、630nm)のフィルターから成る全天並列カメラシステムを構築し、2月上旬から3月下旬までノルウェー・シーボトン天文台においてオーロラ連続観測を行うことができた。得られた画像データは、まだ一般公開には至っていないが、極地研のデータサーバにアーカイブされている。 ・2月14-18日に実施したEISCATレーダー、及び、多点イメージャ群によるオーロラトモグラフィ国際共同キャンペーン観測では、この期間中に太陽風擾乱が到来し、また、多地点で好天に恵まれ、サブストーム時のWestward Traveling Surge (WTS)、Eastward Expanding Auroral Surge (EEAS)、オメガバンド等のオーロラ渦構造に関する良質なデータを多点で取得することができた。 ・代表者が開発したオーロラトモグラフィ解析ツールに加えて、研究協力者が開発した入射電子から複数波長のオーロラ発光強度高度分布を計算するツール、及び、電離圏の等価電流と電気伝導度から電離圏電場、沿磁力線電流を導出するツールを提供してもらうことで、高精度・高効率の解析フローを構築できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
・極めて良質のデータが得られた2月のオーロラトモグラフィ国際共同キャンペーン観測期間中のWTS、EEAS、オメガバンド等の渦構造イベントに対し、トモグラフィ解析を実施する計画である。昨年度に整備したツールを駆使して、電離圏の電導度、電流、電場、及び、沿磁力線電流を導出し、これまで変動の速い現象について捉えられなかった電離圏のカウリング効果を抽出する。 ・昨年度取得したノルウェー・シーボトンの多波長のイメージャ画像を世界的に普及しているCDFフォーマットに変換し、大学間連携プロジェクト「IUGONET」の超高層大気データベースにより公開することで、研究者間のデータ利用を促進する。 ・2018年10月中旬から2019年3月末までシーボトンの全天並列カメラシステムによるオーロラ連続観測を実施する。また、2018年3月に申請したEISCATレーダー特別実験に合わせて、国際共同で多点イメージャによるオーロラトモグラフィ実験を冬季の1~2週間実施し、オーロラ渦構造の統計解析を行えるイベントを取得する。
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Research Products
(12 results)
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[Presentation] Multi-instrument observation of an isolated substorm and associated phenomena2018
Author(s)
Tanaka, Y.-M., T. Nishiyama, A. Kadokura, M. Ozaki, K. Shiokawa, S. Oyama, M. Nose, T. Nagatsuma, M. Tsutsumi, K. Nishimura, K. Sato, Y. Miyoshi, Y. Kasahara, A. Kumamoto, F. Tsuchiya, M. Hikishima, S. Matsuda, A. Matsuoka, M. Shinohara, A. Fujimoto, M. Teramoto, R. Nomura, R. Kataoka, A. S. Yukimatu
Organizer
Fifth International Symposium on Arctic Research (ISAR-5)
Int'l Joint Research
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[Presentation] EISCAT特別実験報告(実験番号01)多点・多波長単色イメージャとEISCATレーダーを用いたオーロラ降下電子エネルギーの時空間変動の観測2018
Author(s)
田中良昌, 小川泰信, 門倉昭, 宮岡宏, Kirsti Kauristie, Alexandre Kozlovsky, Urban Brandstrom, Tima Sergienko, Carl-Fredrik Enell, Bjorn Gustavsson, Daneil Whiter, Ingemar Haggstrom
Organizer
EISCAT研究集会
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[Presentation] Spatiotemporal variation of precipitating electron energy in auroral vortices2017
Author(s)
Yoshimasa Tanaka, Yasunobu Ogawa, Akira Kadokura, Kauristie Kirsti, Carl-fredrik Enell, Urban Braendstroem, Tima Sergienko, Bjorn Gustavsson, Daniel Whiter, Alexander Kozlovsky, Hiroshi Miyaoka, Mike Kosch
Organizer
JpGU-AGU joint meeting 2017
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[Presentation] A comprehensive analysis of an isolated substorm observed during the first coordinated Arase and ground-based observations2017
Author(s)
Tanaka, Y.-M., T. Nishiyama, A. Kadokura, M. Ozaki, K. Shiokawa, S. Oyama, M. Nose, T. Nagatsuma, M. Tsutsumi, K. Nishimura, K. Sato, Y. Miyoshi, Y. Kasahara, A. Kumamoto, F. Tsuchiya, M. Hikishima, S. Matsuda, A. Matsuoka, M. Shinohara, A. Fujimoto, M. Teramoto, R. Nomura, R. Kataoka, A. S. Yukimatu
Organizer
地球電磁気・地球惑星圏学会第142回総会・講演会
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[Presentation] An isolated substorm observed during the first coordinated Arase and ground-based observations2017
Author(s)
Tanaka, Y.-M., T. Nishiyama, A. Kadokura, M. Ozaki, K. Shiokawa, S. Oyama, M. Nose, T. Nagatsuma, M. Tsutsumi, K. Nishimura, K. Sato, Y. Miyoshi, Y. Kasahara, A. Kumamoto, F. Tsuchiya, M. Hikishima, S. Matsuda, A. Matsuoka, M. Shinohara, A. Fujimoto, M. Teramoto, R. Nomura, R. Kataoka, A. S. Yukimatu
Organizer
第8回極域科学シンポジウム