2017 Fiscal Year Research-status Report
ArFレーザー局所分析法による流体包有物中の流体の酸素同位体比測定法の開発
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17K05699
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
石山 大三 秋田大学, 国際資源学研究科, 教授 (30193361)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 流体包有物 / 酸素同位体比 / レーザーアブレーション / 流体の起源 / 元素運搬プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,地下深部からの流体の起源,深部での流体の混合,レアメタル等の金属元素の起源・運搬プロセスを解明するための手法開発の研究である.具体的には,ArFエキシマレーザーを使用して鉱物に細孔を掘削し流体包有物の流体を取り出し,流体の主成分である水の酸素同位体比を測定する手法開発の研究である. H29年度には,現有の珪酸塩鉱物酸素同位体比測定用エキシマレーザーアブレーションシステムのステンレス製試料レーザーアブレーション用セルは流体包有物用分析には大型であり,吸着水の影響を抑制するためには小型のアブレーション用セルに改造する必要があった.最初にセルの材質をニッケルに変更しセル内の体積を4.7cm3から0.6cm3へ1/7へ小さくした.その後,容器からの吸着水等の水の量のバックグランドの見積りを行った.この実験の中で,他の文献では問題が無いとされていた石英ガラスの窓材がフッ素ガスと反応することが明らかになり,本研究費で購入し窓材の材質をCaF2に変更してこの問題点を解決した.容器からの吸着水等のバックグランドの見積りの実験では,酸素同位体比既知の石英試料についてF2ガス雰囲気下でエキシマレーザーアブレーションにより気化し反応させ,CO2ガス量として測定した酸素の収率と同位体比を測定した.その結果,ほとんどの水が吸着水等の水であり,今後吸着水等の試料以外の水の抑制方法について検討が必要であることが課題となった.本年度の研究の結果,本手法を確立するために,バックグランドとしてのH2O量の抑制が重要であることが明らかになった.H29年度の研究の後半でエキシマレーザー装置の発生部が破損したため,部品を購入し,H30年度での研究に支障が出ないようにする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H29年度の研究の後半でエキシマレーザー装置のレーザー発生部が破損したため,部品を購入し修理を行う必要が生じ,実験の進捗に遅れが生じた.
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Strategy for Future Research Activity |
容器からの吸着水の影響が大きいため,容器をある程度の温度で加熱し,吸着水等の影響を低減することや本測定法の検出限界を見積もるために,ガラス容器に封入した酸素同位体組成既知の少量の水(H2Oとして千~数十μモル)を用意し,それらの水について本手法を適用し分析を行い分析値の検討を行う.その後,水熱合成装置で作成した大型流体包有物や天然鉱物試料中の大型流体包有物について分析を行う.
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Causes of Carryover |
H29年度から研究を開始した.研究を進める中で,容器からの吸着水等の水の量のバックグランドの見積りを行い,これらの水の除去が分析法の確立に不可欠であることが明らかになった.この解決を図るために実験を推進した.このプロセスの中でエキシマレーザー装置のレーザー光発生部のキャパシタが破損したため,実験を中断せざる得なくなり,当該助成金が生じた.H30年度には,水の除去のためのヒーターやそれらを制御するコントローラーが必要になる.H29年度の当該助成金はこれらの装置や部品を購入する費用に使う予定である.H30年度に予定している消耗品は,予定どおり使用する.H30年度の国内旅費,人件費・謝金も予定どおり使用することを考えている.
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