2017 Fiscal Year Research-status Report
海底岩石から直接読み解く沈み込むプレートの変動履歴
Project/Area Number |
17K05715
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平野 直人 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (00451831)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | アセノスフェア / リソスフェア / プチスポット / アルカリ玄武岩 / かんらん岩 / 太平洋プレート |
Outline of Annual Research Achievements |
沈み込むプレートの構造や変動過程は、これまで調査船による海底音響測深を用いた海底地形観測(e.g. Fujiwara et al., 2011)や、地震波による海底下の構造探査(e.g. Kodaira et al., 2014)により議論されてきた。現在もその重要性は明白で、年度末3月26日と27日に行われた東京大学地震研究所共同利用研究集会「海溝海側で生じる過程総合研究:沈み込み帯インプットの実態解明に向けて」では、ここ数年集中的に行われている観測結果と本研究の成果を照らし合わせ議論を行った。本申請課題は、プレートを構成する物質そのものを用いている唯一の研究例であり、その重要性を認識した。
捕獲岩・捕獲結晶の分析では、結晶外縁から内部までの濃度変化から、マグマ上昇時に取り込まれた沈み込むプレート中のマントル岩石に交代作用の痕跡がある事が判明した。更に、溶岩組成はプレートの変化する応力場ごとに変化していることも新たに判明した。本成果は、査読付き国際学術誌に公表された(Sato, Hirano et al., 2017, Int'l. Geol. Rev.)。また、更に詳細な岩石組成の変化について、成果公表を進めている。
研究成果としては、既述のSato, Hirano et al. (2017) Int'l. Geol. Rev.以外に、Rochat et al. (2017) Geology 45 (12), 1091-1094.、Baba et al. (2017) Earth, Planet. Space 69, 111.、平野 (2017) 地学雑誌, 126 (2), 195-206.、Machida, Kogiso, Hirano (2017) Nature Comm. 8, 14302.の計4つの査読付き学術誌論文と、国際学会国内学会で複数回の発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予想以上に重要なデータが複数得られ、学術論文の数を増やすことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
マグマを形成した起源マントル物質の情報を残しているSr同位体やNd同位体などの分析を行う。プレート応力場の変化は、上昇するマグマとその周囲のリソスフェアとの交代反応の度合いにも深く関係していると予想したが、その検証を行う必要がある。
噴出マグマの揮発成分(水や二酸化炭素)の濃度変化もマグマ源物質やリソスフェアとの交代反応を見る指標となり得るため、揮発成分分析も行う必要がある。それに伴い、溶岩の形態観察の変化を潜航映像と化学組成を照らし合わせて検証する。この研究には、陸上(過去に海底で噴出し露出したもの)の溶岩形態と照らし合わせる必要があるため、野外調査も行う。
|
Research Products
(16 results)