2018 Fiscal Year Research-status Report
マイクロプラズマ遺伝子導入法における周波数の最適化
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17K05731
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
前原 常弘 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (40274302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神野 雅文 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (30274335)
本村 英樹 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (80332831)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マイクロプラズマ / 遺伝子導入 / 周波数 |
Outline of Annual Research Achievements |
30年度は遺伝子導入用のプラズマ発生装置の試作に取り組み、以下の研究成果をあげた。 1)1MHzおよび500kHz帯での回路の検討と試作:前年度までに13MHz帯と同様の回路を試作し、プラズマの発生を試みたものの、実現することはできなかった。そこで、解析計算と数値計算の両方から、高い昇圧性能Qを有する回路を検討し、インダクタンスが高いこと、損失が十分小さいことが求められることが明らかとなった。リッツ線・φ40μm×660本(外径1.65mm)が入手できたためこれを利用した。この結果、1MHz帯ではQが60を超える回路を制作することができた。 2)1MHzおよび500kHz帯でのマイクロプラズマの発生:上述のリッツ線を利用した共振回路に整合用コイルを取り付け、高周波を加えることで、これらの周波数帯域でマイクロプラズマの発生を得た。 3)3つの周波数帯域でのプラズマによる遺伝子導入:低い周波数(1MHzおよび500kHz)では、プラズマの照射時間が長いほど、導入効率が高くなっており、一方、高い周波数(13.56MHz)では、照射時間が短いほど導入効率が高くなっていることが明らかとなった。また、高い周波数(13.56MHz)で導入半径が大きくなっていることが明らかとなり、周波数の違いがプラズマの物理的な性質の違いを引き起こし、それにより遺伝子導入に影響していることが明らかとなった。今後は、このような「違い」を明らかにすることで、キーとなっているものを明らかにして、導入効率の改善への可能性を探ることが期待できる。 4)プラズマの照射回数:照射回数をパラメータとして上述の3周波数で比較を行った。1回の照射時間を0.4msとして、25回(計10ms)の場合と、1パルス照射の場合を比較したところ、前者の方の導入効率が高かった。照射回数も重要なパラメータであることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は遺伝子導入用のプラズマ発生装置の試作に取り組み、 1)13.56MHzにおけるマイクロプラズマ発生の安定化:ガラス細管でのコーティングや樹脂コーティングなどを試み、ガラス被覆した厚紙を利用する方法でプラズマが極めて安定することとなった。小型共振・整合回路の改良も終了し、細胞等を用いた実験への準備は整った。2)1MHzおよび500kHz帯でのマイクロプラズマの発生:13MHz帯と同じ回路構成で、小型共振・整合回路を試作したが、プラズマの発生に至っていない。という状況であった。 平成30年度は、 3)1MHzおよび500kHz帯での回路の検討と試作:解析計算と数値計算の両方から、高い昇圧性能Qを有する回路を検討し、1MHz帯ではQが60を超える回路を制作することができた。4)1MHzおよび500kHz帯でのマイクロプラズマの発生:上述の回路を利用して、これらの周波数帯域でマイクロプラズマの発生を得た。5)3つの周波数帯域でのプラズマによる遺伝子導入:低い周波数(1MHzおよび500kHz)および、高い周波数(13.56MHz)で遺伝子導入を行い、遺伝子導入の傾向に違いが見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね、計画通りに進んでいるものの、一部に遅れが見られる。周波数ごとに、Q値が異なっている点である。この部分にスピードアップを図りつつ、その他の部分についても計画通り進める。 1)13.56MHz帯:Q値の改善に取り組み、遺伝子導入に与える影響をみる。また、 これまでは最大500Wの高周波電源(空冷)を使用していたが、1kWの電源(水冷)を使用して、他の周波数帯域と最大電力を揃えて、比較を行う。電力を上げ、一方でパルス幅を短くすることで、導入効率の改善を目指す。 2)1MHzおよび500kHz帯でのマイクロプラズマ:プラズマの照射回数を最適化することで、導入効率を上げる。 3)13.56MHz以上の周波数帯域への挑戦: 1MHz帯域と13.56MHzでは傾向は違うものの、導入効率を激変させるに至っていない。愛媛大学内には27.12MHzや40.68MHzの電源もあり、それらの利用を検討し、回路を試作する。
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Causes of Carryover |
概ね、計画通りに進んでいるものの、一部に遅れが見られる。低い周波数(500kHz~1MHz)に関して、昨年度に遅れがあり、この影響から、各周波数帯域でのQ値を揃えるに至っていない。この部分に注力する。
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Research Products
(1 results)