2019 Fiscal Year Annual Research Report
Gas adsorption occurred with structural change of host lattice and switching of dielectric property
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17K05737
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武田 定 北海道大学, 理学研究院, 特任教授 (00155011)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 気体吸蔵 / 相転移 / 誘電物性 / 分子運動 / 配位高分子錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
配位高分子固体の気体吸蔵現象は、水素貯蔵や気体の分離などの機能としても重要であるが、気体吸蔵の仕組みを理解することが学術として重要と考える。さらに、配位高分子錯体の気体吸蔵は気体分子の特徴により高分子錯体全体の物性を制御できると期待され、気体を吸蔵した物質は吸蔵前と比べ新たな物質と見なすことができる。このような観点から、以下の研究を行った。 1. 一次元鎖から成る配位高分子結晶の構造相転移を伴う気体吸蔵の仕組みを示差走査熱量測定(DSC)などにより明らかにし、固体NMR法により配位高分子結晶に取り込まれた気体分子がどのような動的過程を経て結晶から放出されるかを明らかにした。 2. 一次元ナノチャンネルを持つ配位高分子結晶に極性を持つ気体分子CH2F2、CH3Clを吸蔵させると、吸蔵前にはみられない強誘電的な相転移を引き起こし新たな物性を付加できることを見出した。 1.では、1,4-ジアザビシクロオクタン(dabco)とパラ位を置換した安息香酸 (4-X-bza)を配位子とする一連の錯体結晶[Cu2(4-X-bza)4(dabco)] (X= H, F, Cl, Br, I, Me)などについて、DSCと吸着等温線の測定により気体吸蔵特性を調べ、ホスト格子の構造相転移を伴う気体の吸蔵・放出が起こることを明らかにし、エチレンとエタン分子の錯体結晶格子からの気化熱を決定した。重水素化エチレン雰囲気下のX=H錯体とX=F錯体について、in situ固体重水素核NMR測定を行った結果、エチレン分子は、ホスト結晶格子中で一軸性の回転をしながら、温度上昇と共に異なる分子配向間のホッピングが熱励起されホスト格子からの放出にいたることを見出した。 2.では、最終年度に極性分子としてCH2F2の代わりにCH3Clを配位高分子固体のチャンネルに吸蔵させることにより、誘電率の分散を伴う相転移を発現させた。
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