2018 Fiscal Year Research-status Report
Tunnel ionization of photo-excited molecules by infrared intense laser pulses
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17K05739
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
奥西 みさき 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80224161)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 強光子場 / トンネルイオン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は二酸化窒素分子の400nm光励起により生成した励起分子の赤外強光子場トンネルイオン化実験を行った。波長800 nmパルス幅100fsのチタンサファイアレーザーの増幅光をビームスプリッターで分割しその1割を更に倍波結晶で400nmに変換しポンプ光として分子に照射し光励起を行った。残りの光を光パラメトリック増幅器で二つの赤外パルスに変換し、波長1450nmシグナル光を励起分子にレンズで集光イオン化し、生成したイオンを検出した。ポンプ光とプローブ光の遅延時間はリニアステージを用い光学遅延を変化させて測定した。その結果イオン化シグナルにレーザーのパルス幅に比べて非常に早く減衰するシャープなピークとそれに引き続いた、光学遅延を用いた方法では測定できないぐらいの非常に長い寿命(>100ps)の成分の2成分からなる時間プロファイルを持つ信号を観測した。またそれぞれの成分の光偏光角依存性を調べ、全く異なる依存性を示すことをあきらかにした。これは二酸化窒素分子の励起状態の寿命が我々の用いているパルス幅(100fs)より短い寿命で基底状態の高振動励起状態に緩和するという従来からの主張を裏付けるものと考えられる。この波長での励起では分子の解離極限より低い励起状態しか生成しないので寿命の長い成分は基底状態の高振動励起状態の遅い緩和によるものとではないかと考えられる。また励起分子の光電子スペクトルも測定し同様の時間および偏光角度依存性があることも確かめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最大の目的である光励起分子の赤外強光子場によるトンネルイオン化およびその偏光角依存性の測定による分子軌道の変化を見ることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
現状の400nm励起だけでは測定可能な分子や励起状態が限られているので、今後は他の波長でも測定が出来るか確認する。そこでまず励起光を光パラメトリック増幅器で発生したシグナル光またはアイドラー光の4倍波に変え、プローブ光を励起光に使わなかった側の赤外光を用いる実験を行う。また、チタンサファイアレーザーの3倍波である267nmの光でも可能か確かめる。特に二酸化窒素分子は397nm付近に解離極限を持つのでそれより短い波長での励起でトンネルイオン化による信号がどのように変化するかを観測し、解離性分子での測定が可能か確かめる。
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Causes of Carryover |
既に所有していた光学部品などを流用することが出来たことと、ポンプ光を基本波(800 nm)の倍波のみで行ったためポンプ光安定化用の装置を本年度に購入する必要がなくなったため。 波長変換のための物品や光学系および試料ガス、学会参加のための費用として使用する予定
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Research Products
(3 results)