2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05740
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
粕谷 素洋 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (00582040)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 表面・界面 / 表面力装置 / 電気二重層 / 蛍光プローブ法 / pH / 固-液界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、蛍光分光表面力装置において蛍光プローブ法を用いることで、固-水界面におけるpH分布を評価した。また同試料系について表面力測定を行い、観測される電気二重層斥力から表面電位・電荷密度等の特性評価を行い、固-液界面におけるpH分布に与える影響について定量的に調べ、その機構解明を目指す。 本年度は、蛍光性pHプローブ色素(C.SNARF-4F)を溶解させた雲母表面間の水において,蛍光分光表面力装置によって蛍光スペクトルの表面間距離依存性を測定することで,pHの距離依存性を評価した.また、添加する電解質について、化学種およびその濃度を変化させて,その界面pHへの影響を調べた. また,同じ系について表面力測定を行って,観測される電気二重層斥力をPoisson-Boltzmann方程式により解析することで雲母の表面電位・電荷密度を求め,それらが界面pHに与える影響について調べた.得られた表面電位から電気二重層内のプロトン濃度分布のモデル計算を行って,蛍光分光表面力装置による評価結果と比較すると、いずれの電解質種の場合でも低電解質濃度の場合のみ両者は一致し、これは電気二重層によるプロトン濃縮で定量的に界面pH変化が説明できることを示している。一方、高濃度の場合はモデル計算に比べて遠距離から実験値の変化が観測され,その値は電解質種によって異なることが分かった.これらの結果から,高濃度の電解質の場合,電気二重層におけるプロトンの濃縮効果に加えて,他の要素が界面pH変化に影響することが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、添加する電解質の化学種を変化させて固-水界面におけるpHへの影響を評価することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度までに蛍光分光表面力装置を用いて明らかにしてきた固-水界面pHの変化と電解質添加の影響についてについて,基板を変えて調べる. 具体的には,これまで用いてきた雲母基板に対して,水和の異なるシリカ基板,および電荷の正負が異なるアルミニウム基板を用いて,前年度と同様に蛍光分光表面力装置を用いて,固-水界面pHを蛍光プローブ法により評価する.また前年度まで検討してきた電解質種の違いは界面pHに及ぼす影響についても,同様に基板を変えて検討する. また表面力測定についても前年度と同様に行い,電気二重層と界面pHの相関に基板およびイオン種が及ぼす影響を調べる.全体の結果を相互して、pHに電解質や水和が影響を与える機構について理解することを目指す.
|
Causes of Carryover |
購入予定であった雲母や石英レンズ等の消耗品について効率的に使用することで,経費節約することができた.この節約した経費を有効に利用して,次年度は当初計画に加えて、界面pH測定に利用するアルミナ基板の成膜手法を変えて、測定に最適な試料調製法の検討を行う予定である.
|
Research Products
(6 results)