2018 Fiscal Year Research-status Report
クラスレート水和物の構造相転移を誘発するゲスト分子の挙動の解明
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17K05768
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
竹谷 敏 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 上級主任研究員 (40357421)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | クラスレートハイドレート / 包接化合物 / 結晶構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
ガスハイドレートの昇温にともなう位相差X線イメージング法による分解過程の内部構造の非破壊観察と、粉末X線回折法による分解速度の定量的な理解を目標に、以下の研究を実施した。 低温型位相コントラストX線CT測定法を用い、250-280Kの温度条件下において、ガスハイドレート粒子(~mm)の内部構造の均一性・不均一性の精密評価、さらに、温度変化に伴うハイドレートの形態変化の観察を実施した。具体的には、テトラヒドロフラン(THF)ハイドレートと氷の共存サンプルに対し、昇温時における分解過程の可視化を行った。位相差X線イメージング法の一つである屈折コントラスト法を用い、直径1mmの樹脂ビーズ間の孔隙に成長したTHFハイドレートの可視化に成功した。さらに、非破壊での断面観察手法として、位相差X線イメージング用の、150K~273Kの温度域での連続実験が可能な、新たな温度制御システムの制作が完了し、最終年度中に、同システムの立ち上げと実験を行う。 粉末X線回折法を用いた結晶構造解析により、塩を溶解させた溶液からメタンハイドレートを生成した場合の、メタンハイドレートの分解挙動および自己保存機構について検討した。この結果、塩を含むメタンハイドレート試料に関しても、NaClの二水和物の融点以下の温度では、メタンハイドレートは自己保存現象を発現することが明らかになった。さらに、この結果をもとに、メタンハイドレートの自己保存現象の発現と液体層の存在に関する相関性についての検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
位相差X線イメージングに関しては、150Kまでの低温温度域での実験が可能な温度制御システムの導入が遅れた。しかし既に製作は完了し、今年度での挽回は、十分に可能である。 一方で、既設の低温位相差X線イメージングシステムでの測定は計画通りに進んでおり、得られた研究成果を順次、論文誌に投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
位相差X線イメージングに関しては、150Kまでの低温温度域での実験が可能な温度制御システムの測定条件の最適化と検証を早急に行う。また、粉末X線回折による結晶構造解析では、引き続き、他のガスハイドレートの結晶構造解析を実施し、イメージング実験において実施すべき温度条件等の探索を、継続的に行っていく。 これまでに得られた測定結果と、最終年度に得られる成果に基づき、分解時のガスハイドレート粒子内部における局所的変化等を明らかにし、ゲスト-水分子の分子間相互作用の観点から、ミクロな分解反応におけるメカニズムについて検討する。
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Causes of Carryover |
位相差X線イメージング用温度制御システムの立ち上げおよび調整費用として、次年度使用額が生じた。
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