2019 Fiscal Year Annual Research Report
典型元素を含む生体反応中間体を触媒として活用した合成反応の開拓
Project/Area Number |
17K05774
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐瀬 祥平 東京工業大学, 理学院, 助教 (90515165)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | セレン / ヨウ素 / 有機触媒反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体反応中間体の特異な反応性を有機合成に応用することを目指し、甲状腺ホルモン活性化酵素の作用機序における中間体として注目されているヨウ化セレネニルの有機触媒としての活用について検討した。前年度まで、キャビティ型立体保護基により安定化されたヨウ化セレネニルを用いたアミノセレン化について検討し、これまでに例のなかったアニリンによる単純アルケンのアミノセレン化に成功している。本年度、本反応を実用性のある反応とするために、容易に入手可能なPhSeSePhとヨウ素源から系中で発生させたSe-I化学種による反応について検討した。PhSeSePhと単体ヨウ素から発生させたSe-I化学種を用いてアルケンに窒素求核剤を導入した例はいくつか報告されているが、第一級あるいは第二級アミンの導入例は報告されていない。スチレンに対し、アミン求核剤としてアニリンを用い、PhSeSePhと単体ヨウ素による反応を行ったところ、対応するアミノセレン化体が中程度の収率で得られた。ヨウ素源として単体ヨウ素に触媒量のN-ヨードスクシンイミドを加えたものを用いることで、アミノセレン化体の収率を80%以上に向上させることができた。さらに、アミンとしてモルホリンを用いた場合にも、低収率ながらアミノセレン化体が得られた。これは、単純アルケンの脂肪族アミンによるアミノセレン化としては初めての例である。基質としてスチレン以外のアルケンの利用、また、求核剤として他のアミン類の利用についても検討した。以上のように、系中で簡便に発生させることのできるSe-I化学種を活用したアミノセレン化反応を開発し、本反応の汎用性および実用性を高めることができた。
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Research Products
(8 results)