2017 Fiscal Year Research-status Report
イソシアニドと共役拡張型1,3-双極子による高効率的複素環合成手法の開発
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17K05778
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
添田 貴宏 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (10506819)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イソシアニドジハライド / 複素環 |
Outline of Annual Research Achievements |
イソシアニドジクロリドを活用した新規複素環化合物合成法の開発を行った。複素環化合物とは,炭素以外の原子を環状に含む化合物の総称である。これらの化合物群は多様な性質を持っており,天然物,医薬品,農薬や有機材料など多岐にわたる物質に内包される骨格であるため,複素環化合物の高効率的な合成法の開発は有機合成化学上,最も重要なテーマの一つである。従来の合成法では,遷移金属触媒の利用や,複雑な骨格である原料を用いる必要があった。これらの問題を解決すべく,比較的調製容易なイソシアニドジクロリドを活用することで,環境調和型の反応に基づく複素環化合物合成の開発に着手した。 まず,イソシアニドジクロリドを活用した,多官能性ジヒドロオキサゾール及びオキサゾール誘導体の高効率的合成法を開発した。すなわち,α位にトシル基を有するイソシアニド(TosMIC)から誘導したイソシアニドジクロリドとアルデヒドとのアルドール型反応により,簡便に2-クロロジヒドロオキサゾール誘導体が得られた。さらに,残存するイミドイルクロリドとさらなる求核剤との付加-脱離反応により,多官能性ジヒドロオキサゾール及びオキサゾール誘導体を得ることに成功した。また,本反応において,イソシアニドのジクロロ化,アルドール型反応,付加-脱離反応の3stepをOne-Potで行うことで,より効率的な多官能性ジヒドロオキサゾール及びオキサゾール誘導体の合成法を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標に挙げていた,「イソシアニドから調製可能な「新規活性中間体」の創成」について,イソシアニドと同等以上の機能を示す反応活性剤として機能することを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
イソシアニドが関与する多成分反応では,現在の所触媒的不斉反応への展開が課題となっている。今後,有機触媒として,光学活性なボリン酸誘導体を用い,触媒的不斉多成分反応が達成できるか検討する 予定である。
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Research Products
(19 results)