2017 Fiscal Year Research-status Report
アリールボロン酸と安息香酸からの光反応によるアリールラジカル生成と合成への応用
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17K05779
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
吉見 泰治 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (30345673)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 芳香族ボロン酸 / アリールラジカル / 光反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、研究計画のとおり、芳香族のボロン酸を基質とした光反応によるアリールラジカル生成とアルケンへの付加を検討したところ、増感剤としてフェナントレンと1,4-ジシアノベンゼンを、また、アルケンを5等量加えることで、芳香族のボロン酸のMeerwein型反応が進行することを明らかにした。様々な置換基を有するフェニルボロン酸だけでなく、ナフタレンやフェナントレンのボロン酸からもアリールラジカルが生成できること、また、アリールラジカルだけでなく、この方法を用いれば、アルケニルラジカルやアルキルラジカルも生成できることを明らかにした。ボロン酸だけでなく様々なボレートにも応用でき、収率は低いが、アルケンへの付加体を得ることに成功した。アルケンとしても、アクリロニトリルやアクリル酸エステル、アクリルアミドなどの様々な電子不足アルケンも使用できることがわかった。さらに、生成するアリールラジカルは反応性が高いため、溶媒のアセトニトリルの水素を引き抜くことを明らかにし、このためにアルケンが5等量以上必要になることも理解できた。これらの結果は、国際的な英語査読雑誌(Chemical Communications)に掲載した。さらに、関連の論文も1報(J. Org.Chem.)掲載することができた。これらのことにより、アリールラジカルの反応性などの基礎的な知見を得ることができ、次年度の研究に繋ぐことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画どおりに進んでおり、さらに、それらの結果を論文2報に掲載することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度において、基礎的なアリールラジカルの反応性がわかったため、この知見を利用して、基質としてカルボン酸を用いた同様の反応を開発する。
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Research Products
(5 results)