2017 Fiscal Year Research-status Report
イリジウム触媒を用いる不斉レドックスカスケード反応の開発と応用
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17K05784
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 健之 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (10262924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝野 芳織 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (00311762)
周 大揚 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (00324848)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Tishchenko 反応 / イリジウム / メソジアルデヒド / セダルマイシン / ラクトン |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化反応あるいは還元反応を単独で行う場合、触媒反応か否かに関わらず、化学量論量の酸化剤あるいは還元剤を必要とする。多段階行程に酸化と還元を組み込むことで外部から酸化剤や還元剤を加えることなく、原料または中間体に潜在する酸化還元能を利用するレドックスニュートラルな不斉カスケード反応となる。アルミニウムアルコキシドなどの金属アルコキシドの触媒作用により、2分子のアルデヒドが不均化して1分子のエステルを与える反応はTishchenko 反応と呼ばれ、工業的にも重要である。最近、申請者はメソジアルデヒドを用い、分子内Tishchenko反応を世界で初めて成功した。 本反応ではイリジウムヒドリド触媒がメソジアルデヒドの二つのホルミル基のうち片方のホルミル基を選択的に還元することから始まる。生成したヒドロキシアルデヒドが環化し、ラクトールを与え、酸化型触媒との反応により光学活性ラクトンが生成する。本研究では本反応の一般性と天然物合成への応用を検討した。 セダルマイシンA, Bは杉由来の放線菌TP-A0456から古米らに単離された抗生物質である。キラルイリジウム触媒を用いる不斉Tishchenko型反応で得られた光学活性ラクトンを用い、セダルマイシンの合成を行った。セダルマイシンの鍵中間体であるラクトンの光学純度を再結晶により向上することに成功した。得られたラクトン体の保護基を脱保護した後、ジエステル体へと導き、ワンポットで塩基存在下、脱離反応を行い、目的とするセダルマイシンが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで成功例のないTishchenko反応を世界で初めて成功した。得られた光学活性ラクトンを用い、セダルマイシンA, Bの触媒的不斉合成に展開した。具体的にはラクトン体からジフェニルメチレン保護基を脱保護した後、ジエステル体へ変換し、ワンポットで脱離反応を行い、目的とするセダルマイシンA, Bの短工程合成に成功した。セダルマイシンの合成はこれまでラセミ体での合成が2例知られるのみで、今回が初の触媒的不斉合成となる。また本研究によりこれまで決定されていなかったセダルマイシンA, Bの絶対配置を決定することにも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究により不斉Tishchenko反応の応用が可能となった。今後、さらに本反応の有用性を示すべく微生物ホルモンの一つであるA-factorや抗酸化、抗癌、抗炎症活性等の生物活性を示すエンテロラクトンなどの天然物合成に展開する。
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Causes of Carryover |
他経費で旅費等を支出できたので、わずかに剰余金が発生した。次年度の消耗品等に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)