2018 Fiscal Year Research-status Report
Synthetic Application of Instable Reactive Intermediates
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17K05793
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
遠藤 恆平 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 准教授 (70454064)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 有機金属化学 / 不安定中間体 / 協同効果 / 多核金属錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
・クラスター触媒:独自の手法で調製したクラスター触媒を用いる、簡便なアルキンのギ酸還元について、論文投稿し、掲載された。本手法は、回収再利用可能なPd触媒の容易な調製法を提案し、その構造についてTEM解析を実施した。その結果、最小構成単位5 nm程度のfcc結晶が凝集したものであることを解明した。また、ギ酸を還元剤とするアルキン還元としては、これまでで最高の触媒活性を示し、なおかつ回収再利用が可能ということを明らかにした。 ・カプセル分子構築:ヘキサアリールベンゼン構造を利用するカプセル分子化について検討し、基本骨格が確定したことから、現在、鋭意、その誘導体の合成を試みている。また、新たに[12]アヌレン誘導体を用いることで、カプセル分子の鋳型を構築可能であることが判明したことから、その合成に取り組んでいる。 ・多官能基化分子によるベシクル合成:ベシクルの合成に成功したが、その安定性などに関する情報が乏しい。ベシクルサイズは、最大で2 mmと、過去のものと比較すると巨大であるが、物理的、または熱的な処理を続けることで、100 nm程度まで微細化することがわかっている。現在、誘導体の合成に取り組み、網羅的に、ベシクル調製と、その安定性の評価などを試みている。 ・イリド由来の双極性中間体の活用:イリドC=Xをカルベン等価体として設計することで、有機金属中間体の生成を検討している。類似のものは既に過去に我々が報告しているが、反応機構は明らかではなく、他の研究者が報告した手法とのコンビネーションを模索してきた。現在、安定な中間体を発生させることに成功したが、活性が低く反応に至っていない。 ・金属原子による活性化中間体の反応:直接的に反応に関与しない金属原子による官能基の活性化を試み、不斉共役付加反応にて、触媒との協同効果を明らかにした。論文投稿に向けて検討を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究進捗に用いている機器の不調や、実験環境などに影響があり、データ収集が思うように進まず、論文執筆作業自体が遅れている。今年度の復旧作業と、データ収集を進める必要がある。ただ、研究の方向性としては特別の問題点はなく、ある程度、予想した通りの手順を踏んで進んでいると考えている。現状で考えている基礎的な成果をもとに、次の発展につなげる必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
・クラスター触媒:基本的な成果は得られているが、新規性を確保するために、新しい展開を検討している。特に、カプセル分子との組み合わせなどを模索しており、無機物ー有機分子によるブレイクスルーを目指し、現在、設計と合成に取り組んでいる。 ・カプセル分子構築:既に基本的な骨格の選択と合成は終えている。今後は、その誘導化を進めていく。クラスター触媒との組み合わせについては、有機化学から、無機酸化物などへの展開を試みており、鋭意、検討を進めている。基本的に設計した有機分子の合成自体は、それほど難しくないと考えている。 ・多官能基化分子によるベシクル合成:ベシクル合成の分子の条件については、おおよそ確立してきているが、今後は、ベシクル調製後の固定化が重要になる。ベシクル調製後、膜の内部にて官能基の重合を試みる。また、可逆的に分解可能なベシクルの合成を目指しており、重合法として、特に光反応などに注目している。 ・イリド由来の双極性中間体の活用:過去に類似の中間体の報告例があるが、それらは、活性中間体として用いられていない。大半が、合成に関する内容であり、溶解性などに課題が残る。現状では、まず「反応させること」に特化して検討を進めるべき段階と考えている。 ・金属原子による活性化中間体の反応:基本条件は確定したため、まず1つ目の論文投稿を目指しているが、データ収集に時間を要すると考えられる。また、論文投稿後の展開に向けて分子設計などに取り組んでいる。
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Causes of Carryover |
研究に使用している装置の不具合のため、研究進捗状況が遅れている。2019年度に装置の改修を実施することから、進捗の遅れで生じた未使用分について、研究への投資として2019年度に使用することが正しいと判断した。今後は、年間予算に応じて使用法を検討するが、基本的には、2018年度に投入できなかった試薬類などの購入にあてる予定である。
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Research Products
(4 results)